先日パスポートの更新手続きを行うために役所へ。
受付で「戸籍謄本と戸籍抄本どちらをご希望ですか?」と聞かれ、戸惑ってしまいました。
頭の中では 「戸籍謄本と戸籍抄本ってどう違うの?抄本って何?」という疑問も・・・。
あなたは、戸籍謄本と戸籍抄本の違いについてご存知ですか?
今回は、戸籍謄本と戸籍抄本の違いについてや、それぞれどんな時に必要なのか?についてご紹介します。
戸籍謄本と戸籍抄本の違いは?
「戸籍謄本」という言葉は馴染みがある方が多いと思いますが、「戸籍抄本」は、聞いたことがない人もいるかもしれません。
戸籍には、「戸籍謄本(こせきとうほん)」と、「戸籍抄本(こせきしょうほん)」の2種類があるんですよ!
戸籍とは?
戸籍とは、その人の人生記録とも言えるもので、国民各個人の親族的身分関係をはっきりさせるため、これを記載した公の台帳で、その人の出生から死亡までの出来事を記録した文書です。
例えば、父母の名、生年月日、出生地、婚姻者、婚姻年月日、死亡日、死亡地など、個人にとっての重要な出来事が記録されていますが、職業や住所は記載されていません。
この戸籍、昔は「家」の単位で作成されていましたが、現在では「夫婦とその間の子」を単位に編製(戸籍などを新しくつくること)されており、子が婚姻すると親の戸籍から除かれて、その子夫婦の戸籍がつくられていきます。
戸籍には何が記載されているの?
- 本籍:戸籍の所在場所を示すもので、現住所とは関係ありません。
- 筆頭者の氏名:戸籍の筆頭者の名前。筆頭者が死亡しても、戸籍の筆頭者の記載は変わらない。
※戸籍は、本籍と筆頭者の氏名で特定しています。 - 戸籍事項:戸籍の編製から消除まで、戸籍の変遷が記載されています
- 身分事項:その人の出生から死亡までの身分事項が記載されています。
- 父母・養父母の氏名および続き柄:父母の氏名と、その続柄が記載されています。また、養子縁組した際には、身分事項欄にその旨の記載がなされると同時に養父母の氏名と続柄も記載されます。
- 在籍する人の名前:戸籍に入っている人の名前が記載されています。婚姻等により、戸籍から除かれた人については、×印が入ります。
- 生年月日:氏名欄の横に生年月日が記載されています。
この戸籍の原本は、本籍をおいている役所で管理・保存されており、本人であってもその原本を入手することはできません。
私達が取得できるのは、あくまでこの原本の写し(コピー)しか入手できないようになっているのです。
そして、この原本の写し(コピー)の内容によって、「戸籍謄本なのか?戸籍抄本なのか?」の違いがあるのです。
戸籍謄本とは?
戸籍の原本内容のすべてを写している書面で、その戸籍に入っている全員の事項を写したものです。このことから、戸籍謄本は「全部事項証明」とも呼ばれます。
「謄本」は一般的に、「すべての事項を写したもの」を指します。
ポイント
戸籍抄本とは?
戸籍の原本内容の一部のみを抜粋したものを写している書面で、戸籍に入っている一個人の事項のみを抜粋して写したものです。このことから、戸籍抄本は「個人事項証明」とも呼ばれます。
「抄本」は一般的に、「一部の事項を写したもの」を指します。
ポイント
戸籍と住民票の違いは?
住民票とは、個人を単位として、住民の氏名、住所等を記録した帳票をいいます。
戸籍が「人の身分関係を公証するもの」であるのに対し、住民票は「住民の居住関係を公証するもの」で、証明する役割がまったく違います。
戸籍は誰でも見れるの?
戸籍謄本や抄本は、個人情報であるために悪用される恐れがあり、その取得範囲は厳しく定められています。
委任状なしに戸籍謄本が取得できる範囲は、その戸籍に記載されている人、またはその配偶者および親子などの直系親族の人、直系の親族には当たらないが同じ戸籍に記載されている人(未婚の兄弟等)に限られ、例え親族関係であっても取得可能範囲があります。
取得可能範囲以外の人が取得する場合には、本人からの委任状を書いてもらうなどの手続きが必要になります。
注意ポイント
未成年でも戸籍謄本や抄本は取得可能なの?
戸籍謄本や抄本の取得は、上記の取得可能範囲の親族であれば未成年でも取得可能です。
しかし、戸籍謄本や抄本は悪用される恐れもあることから、手続きが厳しくなっています。
請求目的や本人確認書類など手続きに必要な書類や証明ができれば未成年でも請求可能です。
自治体によっては、未成年の場合には親の委任状を依頼する場合もあります。事前に自治体に確認のうえ請求するのがおすすめです。
戸籍謄本を使うときってどういうとき?
個人情報の塊でもある戸籍謄本や戸籍抄本は、取り扱いにも注意したいものです。
それぞれの意味や記載内容も上記で紹介しましたが、それぞれどんな場面で必要になるのでしょう?
戸籍謄本が必要な時とは?
戸籍謄本は、戸籍の原本の全部の内容の写しですので、そういった内容が必要な場面は人生のなかでも非常に限られてきます。
- 結婚する時(婚姻届)
- 離婚する時(離婚届)
- 本籍を変える時(転籍届)
- 養子縁組する時(養子縁組届)
- 養子離縁する時(養子離縁届)
- 名前を変える時(氏の変更届、名の変更届)
- 家族が亡くなった時(死亡届)
- 相続手続き
※被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要 - 遺言書を作成する時
※公正証書遺言を作る場合のみに必要
結婚や離婚はもちろん、養子縁組や養子離縁のたびに、戸籍は作られたりなくなったりするため、戸籍謄本のほうが必要になります。
また、名前を変更する場合も戸籍謄本が必要です。
尚、戸籍謄本は、家族間の繋がりを証明するために使われるので、親子関係を証明したり、あるいは他に子供がいないことの証明などから相続関係によく使われます。
上記のようなことからも、戸籍謄本は、身分証明と言うよりは、相関図的な内容を証明する際に必要となる場合が多いようです。
戸籍抄本を使うときってどういうとき?
戸籍謄本のほうが馴染みがある人も多いですが、それぞれの内容を知ると個人情報の観点からも、抄本で済むのであれば抄本でお願いしますと、言いたくなってしまいます^^;
戸籍抄本が必要な時とは?
戸籍抄本は、戸籍の原本内容の一部のみを抜粋したものを写している書面で、戸籍に入っている一個人の事項のみを抜粋して写したものですので、何かの申請時など、その申請者本人のみの情報だけで済むことがほとんどですので(家族全員の情報などは必要ないため)、「戸籍謄本か戸籍抄本のどちらか1通」であれば、迷わず戸籍抄本を提出したほうが安心です。
- パスポート発給申請をする時
※切換えや訂正時にも必要。 - 生命保険を請求する時
- 年金を受給する時
何かの契約時や申請時に「謄本をお願いします!」などど言われた場合には、提出先に「戸籍謄本と抄本どちらが必要なのか?」を確認することが大切です。
「どちらでも構いません。」という返答であれば、わざわざ家族全員の情報を提供せず、契約者のみのぶんが記載されている戸籍抄本を選ぶほうが、個人情報の観点からも安心かもしれません。
まとめ
「戸籍謄本と戸籍抄本の違い」いかがでしたか?
私は、この違いを知ってから、パスポートの更新用の書類も戸籍抄本でお願いしました。
戸籍関係は、いわば個人情報の塊です。自分でもしっかりと理解して、むやみに晒すことのないよう注意したいものですね!