「戸籍謄本(こせきとうほん)」と「戸籍抄本(こせきしょうほん)」。
どちらもよく耳にする公的書類ですが、いざ必要になったときに「どっちを取ればいいの?」「何が違うの?」と迷ってしまう方は少なくありません。
実は、近年の法改正によって、パスポート申請や各種手続きでのルールが大きく変わっています。
知らずに古い情報のままでいると、役所や窓口で手続きができず二度手間になってしまうことも。
この記事では、戸籍謄本と抄本の根本的な違いから、2026年現在の最新の提出ルール、料金、有効期限、最低限知っておきたい便利な取得方法(広域交付・コンビニ交付)までをどこよりも分かりやすく解説します。
- 戸籍謄本は「全員分」の証明、戸籍抄本は「特定の個人分」のみを抜き出した証明。
- パスポート申請には「戸籍謄本」しか使えません(抄本は完全に不可となりました)。
- マイナンバーカードがあればコンビニでも取れますが、本籍地が違う場合は事前の登録申請(数日かかる)が必要です。
それでは、具体的な違いから詳しく見ていきましょう。
1. 戸籍謄本と戸籍抄本の決定的な違い
戸籍の原本は各自治体でデータ管理・保存されており、私達が取得できるのは原本の内容を証明する「写し(証明書)」です。
この写しの「中身の範囲」によって、謄本と抄本の違いが生まれます。
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)とは?
戸籍の原本内容の「すべて」を写した書面です。
その戸籍に入っている「全員分」の情報が記載されています。
現在の正式名称は「戸籍全部事項証明書」といいます。
戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)とは?
戸籍の原本内容の「一部」を抜粋して写した書面です。
戸籍に入っている人のうち、「特定の1個人(または一部の人)」の情報だけを抜き出しています。
現在の正式名称は「戸籍個人事項証明書」といいます。
【参考】戸籍と住民票の違い
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戸籍:
「夫婦とその間の子」を単位として、出生・婚姻・死亡などの「身分関係」を公証するもの -
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住民票:
個人や世帯を単位として、氏名や現住所などの「居住関係」を公証するもの
それぞれ証明する役割がまったく異なります。
2. 戸籍に記載されている内容と個人情報の見方
戸籍には、個人にとっての重要な出来事が記録されていますが、職業や住所は記載されていません。
具体的には以下の内容が網羅されています。
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本籍:
戸籍の所在場所を示すもので、現住所とは関係ありません。 -
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筆頭者の氏名:
戸籍の筆頭者の名前。筆頭者が死亡しても記載は変わりません。※戸籍は「本籍」と「筆頭者」で特定されます。 -
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戸籍事項・身分事項:
戸籍の編製から消除までの変遷や、各個人の出生、婚姻、死亡などが記載されます。 -
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父母・養父母の氏名および続き柄:
実父母や養父母の氏名と、その続柄が記載されます。 -
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在籍する人の名前と生年月日:
婚姻等により戸籍から除かれた人については、×印(または「除籍」の文字)が入ります。
3. 戸籍謄本・抄本はいくらかかる?「取得費用」一覧
役所の窓口、またはコンビニ交付で取得する際の手数料は全国の自治体で原則一律に定められています。
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戸籍謄本(全部事項証明書):
1通 450円 -
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戸籍抄本(個人事項証明書):
1通 450円 -
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除籍謄本・改製原戸籍:
1通 750円(相続等で使う古いもの)
※自治体によっては、マイナンバーカードを使った「コンビニ交付」を利用すると、窓口より100円〜200円安く取得できる場合があります。
4. 2026年最新:戸籍謄本が必要な場面(婚姻届やパスポートの変更点)
戸籍謄本は「家族全員の相関図」を証明する書類です。
そのため、国籍や家族関係を厳格に確認する場面で必要になります。
① パスポートの新規発給・記載事項変更の申請時
2023年3月の法改正以降、パスポート申請に戸籍抄本は一切使えなくなり、必ず「戸籍謄本」の提出が義務付けられました。
② 相続手続き・遺言書作成時
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した繋がりを確認するため、謄本(または除籍謄本)が必要になります。
以前は結婚(婚姻届)や離婚(離婚届)、本籍を変える(転籍届)などの際、本籍地以外の役所へ届け出る場合は戸籍謄本の添付が必須でした。しかし、2024年3月の戸籍法改正により、これらの届出時の戸籍謄本の添付は原則不要となっています。役所側がデータで直接確認できるようになり、事前の準備が不要になりました。
5. 戸籍抄本が必要な場面と「個人情報」の選び方
戸籍抄本は「自分一人の情報だけ」を証明する書類です。
そのため、家族全員の情報を見せる必要がない、本人確認や手続きで使われます。
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生命保険:
死亡保険金などを請求する時 -
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年金:
遺族年金などを請求・受給する時
手続きの際に「どちらでも構いません」と言われた場合は、わざわざ家族全員の情報を提供せず、自分のみの分が記載されている「戸籍抄本」を選ぶほうが、個人情報保護の観点からも安心です。
6. 知らないと損する「有効期限」の落とし穴
せっかく取得した戸籍謄本・抄本も、期限が切れていると受け付けてもらえません。
手続きによって求められる有効期限が異なるため注意しましょう。
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パスポートの申請:
発行日から「6ヶ月以内」 -
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相続手続き:
発行日から「3ヶ月以内」(※銀行や証券会社などの機関による) -
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各種ローンや契約:
発行日から「3ヶ月以内」
基本的には「発行から3ヶ月以内」を基準に、パスポートなど一部の手続きは「6ヶ月以内」と覚えておくと安心です。
7. 戸籍を請求できる人の範囲と「委任状」のルール
戸籍は個人情報の塊であるため、誰でも自由に取れるわけではありません。
委任状なしで取得できる範囲は厳格に決まっています。
委任状なしで取得できる人
戸籍に記載されている本人、またはその配偶者、直系尊属(父母、祖父母)、直系卑属(子、孫)に限られます。
※同じ親族であっても、叔父・叔母、あるいは婚姻して別の戸籍に入った兄弟姉妹などの戸籍は、原則として本人からの「委任状」が必要になります。
委任状を書いてもらうのが面倒だからと委任状を自分で勝手に自筆すると偽造になり、私文書偽造罪になりますのでご注意ください。
なお、2024年3月からは本籍地以外の役所でも戸籍が取れる「広域交付」が始まりました。
ただし、広域交付が利用できるのは「本人・配偶者・直系親族(父母や子どもなど)」のみです。
兄弟姉妹の戸籍は広域交付では取得できないため、本籍地の役所に請求(窓口または郵送)する必要があります。
未成年でも戸籍謄本や抄本は取得可能なの?
戸籍謄本や抄本の取得は、上記の取得可能範囲の親族であれば未成年でも取得可能です。
請求目的や運転免許証・マイナンバーカードなどの本人確認書類が用意できれば、未成年でも窓口で請求可能です。
自治体窓口によっては、中学生や高校生など若い未成年の場合、トラブル防止のため親の同意や委任状を求められるケースもあります。
心配な場合は事前に請求先の自治体に確認するのがおすすめです。
もし15歳以上で「マイナンバーカード」を持っている場合、多くの自治体でコンビニのマルチコピー機から自分で戸籍謄本等を取得できます(本籍地と現住所が異なる場合は、事前にスマホ等から利用登録申請が必要です)。
窓口での複雑な確認を避けたい未成年の方にもおすすめの方法です。
戸籍謄本を使うときってどういうとき?
個人情報の塊でもある戸籍謄本や戸籍抄本は、取り扱いにも注意したいものです。
それぞれの意味や記載内容も上記で紹介しましたが、それぞれどんな場面で必要になるのでしょう?
戸籍謄本が必要な時とは?
戸籍謄本は、戸籍の原本の全部の内容の写しですので、そういった家族全員の情報が必要な場面は人生のなかでも非常に限られてきます。
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パスポートの申請:
新規発給・記載事項変更の申請時(※2023年3月より、パスポート申請には抄本が使えなくなり、必ず「戸籍謄本」が必要になりました。) -
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相続手続き:
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍が必要 -
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遺言書の作成:
公正証書遺言を作る場合などに必要
以前は、結婚(婚姻届)や離婚(離婚届)、本籍を変える(転籍届)などの際に、自分の本籍地ではない役所へ届け出る場合は「戸籍謄本」の提出が必須でした。
しかし、2024年3月の戸籍法改正により、これらの戸籍の届出時の戸籍謄本の添付は原則不要になりました!
現在は届け出先の役所がデータで直接確認できるようになっています。
このように、現在の戸籍謄本は、単なる身分証明というよりも、家族間の繋がりを証明したり、あるいは他に子供がいないことの証明など、主に「相続関係」や「パスポート申請」といった厳格な手続きの際に必要となる場合が多いようです。
2026年最新:パスポートはオンライン申請が圧倒的にお得!
2026年7月1日の法改正により、パスポートの手数料が大幅に改定されました。
スマートフォンとマイナンバーカードを使った「オンライン申請(マイナポータル)」を選ぶと、窓口で紙の申請書を出すよりも手数料が安くなります。
また、18歳以上の5年パスポートは廃止され、大人は10年パスポートへの一元化となっています。
(窓口申請の9,300円より400円お得!)
オンライン申請なら、役所に足を運ぶのは「新しいパスポートを受け取る時の1回だけ」で済みます。
さらに、氏名や本籍地の都道府県に変更がない通常の「切替更新」であれば、オンライン申請を選ぶことで戸籍謄本の提出そのものが一切不要になります。
オンライン申請の持ち物リスト
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マイナンバーカード:
有効期限内のもの(利用者証明用4桁・署名用英数字6〜16桁の暗証番号も必要) -
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スマートフォン:
マイナポータルアプリをインストールしたもの -
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現在のパスポート:
現在持っている有効なパスポート
※新規取得や、本籍地の都道府県が変わった場合は、オンライン申請であっても別途「戸籍謄本」を1通、窓口持参または郵送で提出する必要があります。
戸籍抄本を使うときってどういうとき?
戸籍謄本のほうが馴染みがある人も多いですが、それぞれの内容を知ると個人情報の観点からも、抄本で済むのであれば抄本でお願いしますと、言いたくなってしまいますよね。
戸籍抄本が必要な時とは?
戸籍抄本は、戸籍の原本内容の一部のみを抜粋したもので、戸籍に入っている一個人の事項のみを写した書面です。
何かの申請時など、その申請者本人のみの情報だけで済むケースで使われます。
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生命保険:
死亡保険金などを請求する時 -
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年金:
遺族年金などを請求・受給する時
何かの契約時や申請時に「戸籍の証明書をお願いします」などと言われた場合には、提出先に「戸籍謄本と抄本、どちらが必要なのか?」を事前に確認することが大切です。
「どちらでも構いません」という返答であれば、わざわざ家族全員の情報を提供せず、自分のみの分が記載されている「戸籍抄本」を選ぶほうが、個人情報の観点からも安心かもしれません。
2024年3月から始まった便利な「本籍地以外の役所窓口で戸籍が取れる制度(広域交付)」では、戸籍抄本(個人事項証明書)は請求対象外となっています。抄本が必要な場合は、これまで通り本籍地の役所に直接(または郵送・コンビニ交付で)請求する必要があるため、手軽さの面からあえて「謄本」を選ぶケースも増えています。
まとめ
「戸籍謄本と戸籍抄本の違い」いかがでしたか?
以前はどちらでも出せる手続きが多かったのですが、現在ではパスポート申請のように「戸籍謄本しか受け付けない」という手続きが主流になってきています。
戸籍関係は、いわば個人情報の塊です。
昔の知識のままでいると思わぬ手続きの二度手間になってしまうこともあるため、最新のルールをしっかりと理解して、賢くスムーズに手続きを行いたいものですね!
【手続き・法律に関する免責事項】
本記事に掲載している戸籍制度やパスポート申請に関する情報は、外務省、法務省、および公的機関が発表している最新の法律・基準に基づき作成しております。しかしながら、各自治体(市区町村役場)の窓口の運用状況やシステムメンテナンス、または個人の具体的状況(未成年者の申請、外国籍が絡む手続き、特殊な相続関係など)によっては、必要書類や手続きの流れが異なる場合があります。実際にお手続きを行われる際は、必ず事前に提出先や管轄の市区町村役場、旅券センターの公式情報をご確認ください。本記事の情報に基づいた手続きによって生じたトラブルや不利益について、当サイトは一切の責任を負いかねます。