人前で話す時や大事な場面などで、緊張して頭が真っ白になったり、震えや声がうわずったり、顔が赤くなったりすることってありますよね。
緊張はちょっとしたコツで、和らげることもできますし、自分でコントロールできるようにもなります。
今回は、緊張をほぐす方法と緊張しないコントロール方法についてご紹介します。
緊張をほぐす方法は?
緊張してしまう場面で、「自分で自分に大丈夫!」と言い聞かせる程、益々緊張してしまう。
「どうして緊張してしまうのか?」
緊張する原因とは?
人間の身体には、生命を維持するためにいろんな機能が備わっています。
そのなかでも大切な機能として備わっているのが、「自律神経」と呼ばれるものです。
自律神経は、循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために、24時間働き続けている神経で、自分の意思によらず自動的に働き続けているシステムでもあります。
また、自律神経には、体の活動時や昼間に活発になる「交感神経」と、安静時や夜に活発になる「副交感神経」の2つがあり、特に、「交感神経」は、「闘争と逃走を司る神経」とも言われ、緊張時や興奮時には「交感神経」が活発化します。
そして、この「交感神経系」が優位になった時に「アドレナリン」が多く分泌されます。
「アドレナリン」とは俗に「攻撃ホルモン」とも呼ばれ、神経伝達物質のひとつで、興奮した時に、心拍や血圧を上げたり、気管支を拡張させたりします。
そしてもうひとつ、交感神経を刺激することで分泌されるものに「ノルアドレナリン」があります。
「ノルアドレナリン」とは、アドレナリンと同じ神経伝達物質のひとつで、なかでも、意欲・不安・恐怖と深い関係があり、人間を含めて動物において脳内で一番多く分泌されています。
「ノル」とは「正規化合物」「基本の化合物」を表す言葉でノルアドレナリンの一部が変化したものがアドレナリンです。
ストレスを受けると放出されるため「怒りのホルモン」とも呼ばれます。
このように、緊張時には、人間の身体は自然と「防御本能」の指令が働き、「交感神経」が活発化し、アドレナリンやノルアドレナリンが多く分泌されることで、心拍が早まったり、汗をかいたりといったいわゆる「緊張状態」を引き起こしてしまうのです。
緊張しやすい人
上記のように、緊張はいわば人間であれば「当たり前」な事象ですが、どうしても「緊張しやすい人」と「緊張しにくい人」が出てきます。
特に「緊張しやすい人」は、体質(ホルモンの分泌量)の他にも、様々な要因があって自分で「緊張」を高めてしまっているために、緊張しやすくなっている場合も多くあります。
- 人の評価が気になる人
- 過去の経験
これは、真面目な人や気弱な人に多く見られることが多く、他人の目が気になる、自分を認めて欲しいなど、「防御本能」が強く働いてしまう人でもあります。
過去に緊張した状態で、人前で大きな失敗を経験したことがある人などは、その経験がトラウマとなって「苦手意識」が脳内で出来上がっているために、なかなか抜け出せない状態になっています。
過去は過去として切り替えて向き合うことが大切ですが、その切り替えがなかなかうまく行かないまま、ひどい人は「恐怖」を感じてしまうほどに根深くなっている場合もあります。
他にも、「自分に自信がない」、「真面目な性格」、「不器用な人」など、人によって様々な要因があって苦手意識が強くなっている場合に緊張は高まる傾向があります。
今すぐできる解消法&緊張しないコントロール方法をご紹介!
緊張は悪いことではないと考える
不思議なもので、人間の体は緊張している時こそ「緊張するな!」「落ち着け!」と念じても逆効果になってしまいます。
「緊張するな!」「落ち着け!」と考えるほど意識が集中してしまい、緊張感が高まってしまうのです。
「緊張は悪いことではない。むしろ当たり前のことなんだ!」と考えるようにして、震えなども無理に止めようとせず、緊張している自分を客観的に感じられるようにすることで、少し落ち着いてきます。
前向きな元気が出る言葉を言う
脳には面白い特性があり、脳は騙されやすいとされています。
ですので、本当はそう思っていなくても「今日はとても楽しみ」と口にすれば、脳はこの言葉の意味を読み取り、自律神経系がこれを現実化しようとします。いわゆる「思いこみ」です。
自分が好きな言葉でも、尊敬する人の言葉でも何でもいいので「自分がいいな」と思った前向きな元気が出る言葉を、口に出して言ってみましょう。口に出すことで、耳からも入る言葉になり、脳を刺激しやすくなりますよ!
名言・格言・ことわざのあれこれ
壁というのは、できる人にしかやってこない。
超えられる可能性がある人にしかやってこない。
だから、壁がある時はチャンスだと思っている。
【イチロー】
俺は、絶対落ち込まないのよ。
落ち込む人っていうのは、自分のこと過大評価しすぎやねん。
過大評価しているから、うまくいかなくて落ち込むのよ。
人間なんて、今日できたこと、やったことがすべてやねん。
【明石家さんま】
勝ち負けなんか、ちっぽけなこと。
大事なことは、本気だったかどうかだ!
【松岡修造】
音楽を聞く
よくスポーツ選手が本番前にヘッドホンで音楽を聞く姿を見たことはありませんか?
スポーツ心理学では、「音楽は力と興奮を高め、緊張や疲労を軽減する効果がある」と言われています。
自分の好きな音楽などを聞くのも効果があります。
深呼吸
緊張したりプレッシャーを感じると、呼吸が浅く速くなってきます。
呼吸が速くなるとどうしても焦りがちになり、ミスを誘発する原因になったり、マイナス思考に陥りやすくなったりもします。
そんな時におすすめなのが「深呼吸」です。
ですが、深呼吸をする際に、まずスーッと大きく息を吸い込んでいる人は間違いです。息が乱れた状態で大きく息を吸い込むと、過呼吸になってしまうこともあり、特に緊張状態にあるときは要注意です。
多くの人が間違った深呼吸のやり方をしていますので、正しい深呼吸のやり方を覚えましょう!
正しい深呼吸のやり方
口をすぼめるようにして、ゆっくりと空気を吐き出していきます。
②鼻からゆっくりと息を吸い込む。
腹式呼吸のやり方で、鼻からゆっくりと息を吸い込みます。鼻から息を吸うのは、吸い込む量を一定にしてリズムを保つためです。
上記の「口から吐き、鼻から吸う」という動作を基本に、2~3回ゆっくりと深呼吸をしてみてください。
浅くなっていた呼吸が深呼吸によってゆったりしたものに変わると、緊張やプレッシャーが徐々に解けていくのを実感できるはずです。
カワイイ動画や写真、おもしろ動画などを見る
ストレスと対極にあるリラックス状態が、緊張状態のストレスを打ち消すことで、脳の思考回路が一旦リセットされます。
「カワイイ」画像や動画を見ると「オキシトシン」という別名「癒しホルモン」が分泌されます。オキシトシンは「幸せホルモン」とも呼ばれていて、分泌されると恐怖心や闘争心、逃げ出したくなる欲求を減少させ、人を幸福感で満たす作用があると言われています。
また、緊張でガチガチになってしまった体やメンタルを緩和してくれるものに「笑い」があります。
「笑い」は、脳波のなかでもアルファ波が増えて脳がリラックスするほか、意志や理性をつかさどる大脳新皮質に流れる血液量が増加するため、脳の働きが活発になることも知られています。
また、笑うことで副交感神経が優位になり、交感神経とのスイッチが頻繁に切り替わることになり、自律神経のバランスが整い、肩の力がうまく抜けて緊張緩和に繋がります。
軽くストレッチや運動をする
屈伸や背伸び、軽い足踏みなど出来る範囲で構わないので体を動かしてみましょう。
緊張していると知らないうちに体中の筋肉が萎縮してしまっています。
軽くストレッチや運動をすることで、体の筋肉が緩み血行が良くなり、副交感神経が優位になることで、リラックス効果が期待できます。
まとめ
緊張は、誰にも備わっている当たり前の状態です。
緊張を恐怖と捉えずに、緊張を上手に利用するようにすることも大切です。
まずは、緊張を楽しむ気持ちで、どのやり方が自分には合っているのか、緊張をほぐす方法を色々と試してみるのもおすすめです。