中南米を中心に感染が拡大するジカ熱(ジカウイルス感染症)。
今年2016年2月にはWHO(世界保険機関)が非常事態宣言を出しています。
今年の夏は、リオデジャネイロオリンピックにより、ジカウイルス感染地域への人の往来が増えることが予想されており、日本国内でもオリンピック後の注意対策が呼びかけられています。
特にジカ熱は、妊婦の方が感染すると胎児が小頭症になる可能性があることも分かっており、より一層の注意が必要です。
夏は蚊が活発に活動する季節でもありますので、事前に予防対策法などの基礎知識は身につけておきたいものですね。
そこで今回は、ジカ熱の感染経路や症状や潜伏期間について&効果的な予防対策法についてご紹介します。
目次
ジカ熱の感染経路は?
ジカ熱の原因となるのは、1947年にアフリカのウガンダのジカ森林で初めて確認された「ジカウイルス」です。
ジカウイルスはどのように感染するの?
ジカウイルスは、デング熱と同じように蚊を媒介とした感染症で、ジカウイルスを持った蚊がヒトを吸血することで感染します。
蚊と言っても地球上には約2500種類もの蚊が生息していると言われており、日本ではそのうちの約100種類ほどが生息しているとされています。
- Ae. aegypti【日本名:ネッタイシマカ】
(※フランス領ポリネシアでの流行) - Ae. Africanus
- Ae. hensilli
(※ヤップ島での流行) - Ae. polynesiensis
(※フランス領ポリネシアでの流行) - Ae. albopictus【日本名:ヒトスジシマカ】
上記のなかでもヒトスジシマカ以外は、海外で生息しているもので、日本での生息は確認されていませんが、ジカウイルスの流行地への渡航者は、蚊に刺されないように&日本にウイルスを持ち帰らないよう注意が必要です。
国内で感染に注意が必要なのが、日本に生息している「ヒトスジシマカ」です。ヒトスジシマカは、日本でも身近な蚊のひとつでもありますので注意が必要かもしれません。
でも、ヒトスジシマカのすべてがジカウイルスを所有している訳ではなく、注意が必要なのは、海外など流行地でジカウイルスに感染した人の血を吸ったヒトスジシマカに刺されることです。
ジカ熱は感染したヒトからうつるの?
ジカウイルスは、蚊による媒介が主とされ、基本的に、感染したヒトから他のヒトに直接感染するようなものではないとされています。
ですが、稀なケースとして、感染者の血を輸血した場合や感染者との性交渉でも感染する恐れが指摘されています。
ジカ熱の症状や潜伏期間は?
ジカ熱の主な症状としては、微熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などが主な症状です。
ジカ熱は、感染しても全員が発症するわけではなく、感染した人口の
が発症する割合と言われています。また、そのほとんどが症状がないか、症状が軽いため気付かないこともあるほどです。
蚊を媒介とするデング熱と比べても症状は似ていますが、デング熱よりも症状の度合いは軽いとされています。
ですが、海外では、ジカ熱への感染をきっかけに「ギラン・バレー症候群」を発症する人も出ているため、注意するに越したことはないかもしれません。
ギラン・バレー症候群とは、筋肉を動かす神経が障害されて手足に力が入らなくなる難病で特定疾患に指定されています。
ジカ熱の潜伏期間は?
ジカ熱の潜伏期間は、2~7日程度で、最長でも12日程度とされています。多くが蚊に刺されてから数日で発症するケースがほとんどのようです。
発症後もほとんどが症状は軽いため、微熱など風邪の初期症状と似た状態が2~7日続いた後に自然治癒し、予後は比較的良好です。
治療方法については、ウイルスに対するワクチンなど特有の薬はなく、対症療法のみとなります。
また、一度でもジカ熱にかかると抗体ができるために、二度と感染する可能性は、ほぼないとされています。
風邪と似た症状ですが、咳や鼻水、喉の痛みなどが一切ないのが見分けるポイントかもしれません。
ジカ熱は妊婦さんが特に注意が必要!
ジカウイルスは、致死率も非常に低く、感染しても比較的軽い症状で推移するため、あまり問題ないように感じてしまいますが、妊婦さんにとっては、とっても注意が必要な感染症なんです。
妊婦さんが感染すると、母体から胎児への垂直感染を起こすことがあり(先天性ジカウイルス感染症)、胎児に小頭症などの先天性障害を起こす可能性があるとされているのです。
小頭症とは、脳の頭蓋骨が異常に小さいために脳の発達の遅れや機能の低下が起こり、知的障害やひどい場合には死に至る怖い病気です。
ジカ熱の効果的な予防対策法は?
ジカ熱の予防には、「蚊に刺されないようにすること」が最も有効な手段です。
- 虫よけスプレーなどを活用したり、長袖・長ズボンなどを着用し肌の露出を極力減らすなど、蚊に刺されないよう気を配る。
- ヒトスジシマカの繁殖を防止するためにも、庭やベランダに水たまりを作らないようにする。
- 妊婦や妊娠の可能性のある女性が流行地へ行った人と性行為をする場合には、帰国後4週間はコンドームを使用するなどし感染を防ぐ。
- 妊婦や妊娠の可能性のある女性は、流行地への渡航は控える。
今年は、リオオリンピックもあり、ジカウイルス感染地域への渡航を予定している方も多いかもしれません。
- 現地では、虫よけスプレーなどを活用したり、長袖・長ズボンなどを着用し肌の露出を極力減らすなど、蚊に刺されないよう気を配る。
- 帰国後も、もしもの感染拡大に配慮し、4週間程度は、虫よけスプレーなどを活用したり、長袖・長ズボンなどを着用し肌の露出を極力減らすなど、蚊に刺されないよう気を配る。
まとめ
今年は、リオデジャネイロオリンピック開催もあり、よりジカ熱に対して注意が必要かもしれません。
特に妊婦の方や妊娠の可能性がある方は、念入りの予防対策を心掛けましょう。