思いがけない訃報など誰でも動転せずにはいられないものです。
遺族から訃報を受けた時や、死去を知った場合には、相手の気持ちを思いやり行動したいものです。
今回は、訃報を受けてから弔問までの流れについてご紹介します。
弔問のマナー【訃報が届いたら】
死去の知らせを聞いたら、まずは落ち着いて、電話口で取り乱したり、死去した際のことを色々と尋ねたり、といった非常識なことは控えます。
遺族も取り込んでいる時ですので、相手の気持ちを思いやって、お悔やみの言葉を伝え、簡潔に通夜、葬儀・告別式の日時と喪主、宗旨(しゅうし)を確認します。
また、故人と親しい間柄なら遺族を助けて、他に伝えてほしい人などいないか?を尋ね、可能であれば引き受けるのもよいでしょう。
訃報を受けた時に確認すること
- 亡くなった方の名前・関係
- 通夜・葬儀・告別式の場所や日時
- 喪主
- 宗旨
※本人が不在の場合や、会社関係の場合など、電話を受けた人が面識がない場合も多いものです。
「義母の妹の○○さん」や「○○会社の会長の○○○○様」など、関係をきちんと確認するようにしましょう。
※弔電を届ける際に必要になります。
※弔電を届ける際に必要になります。
※仏式、キリスト教式、神式などにより香典の書き方が違うため、分かる場合には確認しておきます。
お悔やみの挨拶
お悔やみの言葉は、故人の死を悼み、遺族を慰めいたわるものです。
挨拶するときには、病状や死因を聞くことは失礼にあたりますし、「忌み言葉」を使わないようにすることも最低限のマナーです。
一般的なお悔やみの言葉
★このたびは本当に残念でなりません。心からお悔やみを申し上げます。
急死の場合のお悔やみの言葉
★思いがけないことで、言葉が見つかりません。謹んでお悔やみ申し上げます。
長患いの場合のお悔やみの言葉
★ご家族の方々の看病のかいなく、とても残念です。ご家族の皆様、どうぞお力落としのございませんように。
ポイント
お悔やみの言葉などは、いざとなると言葉がなかなか出ないものです。言葉がうまく出ない場合は「心からお悔やみを申し上げます。」の短い一言でも構いません。
忌み言葉に注意しましょう
葬儀・告別式、通夜などでは忌み言葉を避けるようにすることがマナーです。忌み言葉とは、不幸が続くことを連想させる言葉のことです。
- 忌み言葉の例
「重ね重ね、たびたび、またまた、重々、かえすがえす、次々」
※言葉を重ねるのは、「同じようなことを繰り返す」という意味になり、使ってはいけない忌み言葉です。
弔問のマナー【通夜前】
近親者はすぐに駆けつける
訃報の知らせを聞いた際には、近親者と自他ともに認める親友などはすぐに駆けつけます。
覚悟していた場合でも肉親の死のショックは大きいものですし、遺族は葬儀の準備もあり、人手が必要なものでもあります。
お悔やみを述べたら、「そのつもりで来ましたので、何なりとお申しつけください」と手伝いを申し出ましょう。女性の場合にはエプロンなども持参しておくとよいでしょう。
ポイント
遠方の親族の不幸の場合は?
遠方の場合は、出来るだけ急いで駆け付けるようにし、遺族に到着日時を知らせておきます。
また、遠方であるうえに、普段からつきあいのない親族の訃報を受けた場合は、両親や親戚などに相談してから判断をします。
必要によっては出席し、または弔電を届け、お悔やみの手紙を添えた香典を郵送します。
友人・知人の弔問時期
友人や知人の場合は、故人や遺族との関係の度合いで対応が異なります。
また、言動は控えめにし、服装は地味な平服とし、アクセサリー類は結婚指輪以外ははずし、化粧も薄化粧に留めるのがマナーです。
故人と親しい関係の場合
故人と親しい関係の場合には、通夜に出席するなら、葬儀・告別式にも出席します。
香典は最初の弔問である通夜の席に持参し、葬儀・告別式の時には記帳だけで構いません。
もしも、仕事の都合で葬儀・告別式に出席できない時には、通夜の席で遺族にお詫びをしておくようにしましょう。
故人とさほど親しくない場合
弔問するのであれば玄関先でお悔やみを述べる程度にとどめ、あらためて通夜か告別式のどちらかに出席します。
友人や会社関係者の親族、祖父母が他界された場合などは、告別式に出席するのがマナーです。
しかし、仕事などの都合で告別式に出席できない時は、通夜だけでも出席し、お悔やみを伝えた方が遺族にも気持ちが伝わるものです。
故人との対面をすすめられたら?
遺体との対面は遺族にすすめられた場合のみ行うものです。遺族からすすめられる前に自分から故人との対面を求めるのは失礼になります。
対面する時は、故人の顔あたりからやや下がった位置に座り、故人に一礼します。
遺族が顔を覆った白い布を取ってから、一礼してお顔を拝見し、仏式の場合は合掌(故人の宗旨がキリスト教式・神式の場合は合掌なし)します。
「良いお顔をしていらっしゃいます。」「おだやかでまるで眠っておられるようですね。」などのいたわりの言葉をかけるのもよいかもしれません。対面後は、故人と遺族に一礼をして下がります。
また、対面がつらいときには、「今の私には…」「悲しさが増しますので…」と言って断っても構いません。
やむをえない事情で通夜や葬儀に参列できない場合は?
本人が入院中や、長期出張などでどうしても動きが取れない場合には、代理人を立てるか、葬儀の前日までに弔電を打つようにします。
また、初七日までにお悔やみの言葉を添えて香典を送るか、あらためて後日弔問に伺うのがマナーです。
弔問のマナー【葬儀後】
諸事情により、故人の葬儀後に弔問することもあるかもしれません。
その場合には、まずは先方へ連絡しお伺いしてもよいかを尋ねます。
葬儀後も遺族は忙しいものですので、急に伺ったりするような配慮がない行動は避けましょう。
電話で、「○○(故人の名前)様にお世話になっておりました、□□と申します。ご葬儀の際は、所要がありましてお伺いできず大変失礼をいたしました。お力落としのところ恐縮ですが、お線香を手向けにお伺いしたいのですが、ご都合をお聞かせ願えますでしょうか。」といったお尋ねをし、ご都合を伺います。
もし、先方がお疲れの様子だったり、お忙しいようであれば、日を改めるようにしましょう。遺族の気持ちを察してそれに沿うことが大切です。
葬儀後の弔問の手順
まずは、お悔やみの言葉を伝え、再度葬儀に出席できなかった非礼をお詫びします。
霊前(仏前)に通されたら、お線香を手向けさせていただいた後、ご遺族へ「ご霊前(仏前)にお供えください」とひと言添えて、持参した香典や供物を渡します。
その後は、あまり長居はせず、短時間で切り上げるようにします。
葬儀後の弔問の場合の服装は?
地味な平服を着用します。喪服でも失礼ではありません。
葬儀後の弔問の場合の香典は?
初七日までにお悔やみの言葉を添えて香典を送っている場合には必要ありませんが、それ以外は持参します。
四十九日法要前であれば、表書きは「御霊前」ですが、法要後であれば、「御仏前」を用います。
葬儀後の弔問の場合の供物は?
供物は宗教によって供えるものが違いますので、事前に確認が必要です。
持参する場合には、のしは結び切りを使い、表書きは「御供物」とします。
まとめ
訃報はある日突然やってくることが多く、心の準備ができないまま臨むことも多いものです。
残された遺族の心情に寄り添って、心からのお悔やみの気持ちを込めて失礼のない基本的なマナーは身につけておくと安心かもしれませんね。