「秋分」。
この日は春分の日と同じように昼夜の長さが等しく、秋分を過ぎると次第に夜のほうが長くなっていきます。
このころを境に夏の暑さも落ち着き、秋が深まり始めます。
この秋分の頃の風景としてよく目にするのが「彼岸花」。
凛とした美しい姿の彼岸花ですが、不吉なイメージや縁起が悪いといった印象を持つ人も少なくないようです。
今回は、彼岸花の花言葉は?不吉なイメージや縁起が悪いといわれる理由とは?についてご紹介します。
彼岸花の印象が変わるかもしれませんよ。
彼岸花の花言葉は?
彼岸花ってどんな花なの?
彼岸花とはヒガンバナ科・ヒガンバナ属(リコリス属)に分類される球根植物です。
日本や中国に広く自生し、開花時期は7月~10月頃とされており、日本では夏の終わり9月の彼岸の時期に開花することが多く、開花期間は数日間と短く、秋のお彼岸の時期の終わるころには花も枯れてしまいます。
この秋のお彼岸の期間(秋分の日を入れた前後3日間)だけに花を咲かせることに由来して「彼岸花」と名付けられたとされています。
彼岸花の特徴
彼岸花は、まず花が咲き、後から葉っぱが伸びるという特徴があり、通常の草花とは逆の生態をもっています。
彼岸花が開花している時によく見てみると、花が咲いているときに葉がないことに気づきます。
彼岸花の花の色
彼岸花の花の色といえば、「赤」のイメージが強いかもしれませんが、赤色のほかにも、白、黄などの色のものもあります。
彼岸花の花言葉
彼岸花は、赤色のほかにも、白色や黄色のものもあり、それぞれの色によっても花言葉が違います。
彼岸花の花言葉【赤色】
- 情熱
- 独立
- 再会
- 転生
- あきらめ
- 悲しい思い出
- 想うはあなたひとり
- また会う日を楽しみに
彼岸花の花言葉【白色】
- 想うはあなたひとり
- またあう日を楽しみに
彼岸花の花言葉【黄色】
- 追想
- 深い思いやりの心
- 悲しい思い出
彼岸花の別名
日本では「彼岸花」が一般的ですが、「曼珠沙華」という別名で表現されることもあります。
彼岸花は、学名は「Lycoris Radiata」といい、彼岸花は和名、曼殊沙華は別名で、ほかにも別名が多いことで知られている彼岸花には、下記のような別名があります。
- 彼岸花(ヒガンバナ)
- 曼珠沙華(まんじゅしゃげ/かんじゅしゃか)
- 死人花(しびとばな)
- 地獄花(じごくばな)
- 幽霊花(ゆうれいばな)
- 剃刀花(かみそりばな)
- 狐花(きつねばな)
- 捨子花(すてごばな)
- 毒花(どくばな)
- 痺れ花(しびればな)
- 天蓋花(てんがいばな)
- 狐の松明(きつねのたいまつ)
- 狐花(きつねばな)
- 葉見ず花見ず(はみずはなみず)
- 雷花(かみなりばな)
- レッドスパイダーリリー
- ハリケーンリリー
- マジックリリー
など
彼岸花が不吉なイメージや縁起が悪いといわれる理由とは?
彼岸花は、日本全国で群生しているため、地方でつけられた方言を含めると1000以上もの別名を持つとされています。
彼岸花の特徴でもある葉と花を一緒に見ることがない性質から「葉見ず花見ず」、「捨子花」(※親(葉)がいない子供(花)という由来から)と呼ばれたり、墓地でよく咲くことから「死人花」「地獄花」、さらには「幽霊花」などと呼ばれることもあります。
赤い彼岸花の姿から「火」や「炎」を連想させることからこれらにまつわる別名もあり、「狐の松明」「狐花」など呼ばれることがあります。
また彼岸花の球根には毒があることから「毒花」「痺れ花」といった別名もあります。
彼岸花の球根は毒があり、地中に潜むモグラやネズミは、他の植物の根はかじっても、彼岸花のものはかじらないと言われています。
彼岸花を水田や墓地などでよく目にするのは、この彼岸花の持つ毒性をうまく利用したためともいえます。
田んぼなどを荒らすモグラやネズミ、虫などの生き物がヒガンバナの毒を嫌って避けるため、水田の畦(あぜ)に植えられたものと考えられています。
また、墓地でもまだ土葬だった時代に、虫除けや土葬後に死体が動物によって掘り荒されるのを防ぐために墓地のまわりに彼岸花を植えたとされています。
彼岸花が不吉なイメージや縁起が悪いといわれる理由は、これらの別名から持たれるイメージがあるのかもしれません。
- 「彼岸花を家に持ち帰ると火事になる」
- 「彼岸花を摘むと死人がでる」
- 「彼岸花を摘むと手が腐る」
彼岸花には、上記のような怖い迷信もあります。
これらは、彼岸花の花色や花姿が火や炎を連想させること、そして彼岸花のもつ毒性によるものとされています。
上記のような別名や迷信などを見ると、彼岸花に少し怖いイメージをもちますが、その毒性を活かした虫よけや害虫除けとして、墓地や水田などを守ってきた彼岸花。
決して、不吉なものでも縁起の悪いものでもなく、その特性を活かして、昔から人々の暮らしのなかに根付き、今もなお、日本中で見られる秋の彼岸の時期の代表的な風景となっているのかもしれません、
まとめ
彼岸花の凛とした美しい姿。
その特性を活かし、水田や墓地など人々の暮らしのなかでも大切な場所に植えられた彼岸花は、不吉なものでも縁起の悪いものでもなく、そっと見守ってきた優しさや芯の強さを感じる花かもしれません。彼岸花の印象が変わるかもしれませんね。