人生のなかで大きな買い物と言えば「マイホーム」。
「住宅ローン控除」は、マイホームという大きな買い物をした人に対する減税措置です。
せっかく減税してくれるというのですから利用しない手はありませんね。
会社員の場合、2年目からは原則的に年末調整してもらえるので問題ありませんが、初年度は自分で確定申告を行わなければなりません。
はじめての住宅ローン控除は戸惑いがちですが、しっかり申告して節税対策を行いましょう!
今回は、住宅ローン控除について必要書類や申告書の書き方を記入例つきでご紹介します。
目次
住宅ローン控除の申告書の書き方&必要書類は?記入例つきでご紹介!
住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入すると受けられる「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」ですが、誰もが必ず住宅ローン控除を受けられるわけではないのがポイントです。
住宅ローン控除を受けるには、いくつかの条件がありますので、自分が住宅ローン控除の対象になるのかどうかをまずは確認しておきましょう。
住宅ローン控除の対象とは?
下記の内容にすべて当てはまる場合は控除の対象となります。
建物に関して
- 床面積
購入、もしくは増改築した住宅の床面積が登記簿上で50㎡以上あり、2分の1以上の部分が居住用になっている。
※マンションの場合は共有部分等は含みません。専有部分だけの床面積をカウントします。 - 中古住宅の場合
次のいずれかに該当
◆中古住宅を購入した場合、マンションなどの耐火建築物は、その取得の日以前25年以内、木造など耐火建築物以外は20年以内に建築されたものである。※耐火建築物:火災が発生しても、崩落したり炎上したりしない性能を有する建築物のこと。◆一定の耐震基準に取得の日の前2年以上に適合している。
◆取得日までに耐震改修工事の申請をし、居住開始日までに耐震改修工事(耐震基準を満たす)を完了している「要耐震改修住宅」の取得。
- 増改築の場合
マイホームを増改築した場合、その工事費用が100万円を超えており、工事後の床面積が50㎡以上ある。
入居・年収・取得内容に関して
- 入居条件
マイホームを購入または増改築してから6ヶ月以内に入居し、その年の年末まで引き続き居住している。
※住宅ローン減税を受けられるのは「居住の用に供した場合」のみで、居住の実態は住民票により確認することとなります。このため、別荘などのセカンドハウスや賃貸用の住宅は対象となりません。 - 取得方法
配偶者や生計を一にする親族などから購入した住宅ではない。 - 年収
控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること。
※不動産や株式譲渡などイレギュラーな収入があった場合は注意が必要。3,000万円を超える年は住宅ローン控除が利用できません。
ローンに関して
- 返済期間
住宅の取得や増改築のために受けた融資は、返済期間が10年以上ある。
※期間は、借入期間ではないので注意が必要。 - 借入先
金融機関などからの借入である。 - 利率
親族や知人からの借入や、勤務先などから借り入れた場合でも、金利が年0.2%以上であるなど、要件を満たしている。
その他
- 特例
入居の年とその前後2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(措法31の3)、3,000万円の特別控除(措法35の1項:第3項の規定により適用する場合を除く)、買換特例(措法36の2)やその他の特例の適適用を受けていない。
消費税10%の物件は控除期間を3年延長
消費税率の経過措置により契約時期と入居日によって消費税率が変わります。
また、消費税率が8%か10%かによって、住宅ローン控除の控除期間も変わりますので注意しましょう。
詳しくは下記の図もご参考に!
契約時期と入居日によって変わる消費税率
住宅ローン控除の控除期間や計算方法
転勤になったら住宅ローン控除は受けられない?
上記の条件のなかにもあるように、住宅ローン控除が適用される条件のひとつに「申告した本人が当該物件に継続して居住すること」というものがあります。
この条件に照らし合わせると疑問に思うのが「もし、転勤した場合はどうなるの?」というもの。
この場合は、状況や期間などによって控除の対象になるケースとならないケースがでてきます。
例えば、国内での転勤の場合、生計を一にする家族が居住している限り、控除を受けることができますが、家族全員で移り住んでしまう場合は対象外となってしまいます。
そのため、住宅ローン控除を継続させるためには単身赴任するのがベストな方法という判断もあるのです。
転勤先が国内
家族全員で引越し:居住している期間は控除を受けられる
家族全員で引越し:控除対象外
転勤先が海外
家族全員で引越し:居住している期間は控除を受けられる
家族全員で引越し:控除対象外
海外などに転勤する場合は、本人が非居住である限り控除の対象外となってしまいますが本人が帰ってきて再居住した際には、また控除を受けられるようになっています。
住宅ローン控除を利用する場合は、転勤など居住内容が変更になる事項がある場合は注意が必要ですね。
住宅ローン控除の必要書類とは?
●住宅借入金等特別控除の計算明細書
※申告書と一緒に税務署や国税庁のサイトで入手可能。
●源泉徴収票
●住民票の写し
●売買契約書
●住宅ローンの年末残高証明書
●登記事項証明書
※手元にない場合は管轄の法務局で取得。
住宅ローン控除の申告書の書き方を記入例つきでご紹介!
住宅ローン控除を受けるためには、会社員など給与所得者の場合、適用1年目は確定申告をしなくてはなりませんので忘れずに自分で行いましょう。
尚、2年目以降は勤務先での年末調整で住宅ローン控除の処理が完了します。
住宅ローン控除の申告書の書き方の流れ
住宅ローン控除の申告書の書き方&記入例
住宅ローン控除の申告書の書き方について下記の例をもとに作成していきます。
◆家屋や土地の購入価格:3,650万円
※建物部分:2,650万円、土地部分:1,000万円
◆住宅ローン額:2,000万円
◆住宅ローンの年末残高:1,985万円
◆居住開始年月日:平成31年2月4日
①住宅借入金等特別控除の計算明細書の記入
②確定申告書Aの【第二表】の記入
◆所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額:源泉徴収票の源泉徴収税額を確認
収入金額、源泉徴収税額は、源泉徴収票を見ながら記入します。尚、会社員の場合所得の種類は「給与」となります。
住宅ローン控除を受けるためには、マイホームを購入したり増改築を行ってから6ヶ月以内に居住し、その年の年末まで継続的に住み続けていることが必須条件になります。
③確定申告書Aの【第一表】の記入
課税総所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円以上 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
記入例の場合は、
次に、「(24)(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」欄に住宅借入金等特別控除額の計算明細書で算出した控除額を転記します。
尚、記入例の場合は、
次に、源泉徴収票の「源泉徴収税額」の金額を「(38)所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」欄に記入します。
上記の数字をもとに、「(36)-(37)-(38)」の金額を算出し、記入します。
記入例の場合は、
となり、この数字がマイナスの場合は「還付」(※プラスの場合は徴収)となりますので、「(40)還付される税金」欄に記入となります。記入例の場合は190,700円が還付されることになります。
まとめ
マイホームなどの大きな買い物をした場合は、長い期間のローンのことも考えて、なるべく節約したいもの。
住宅ローン控除もしっかりやって節税対策をしっかり行いましょう!