年金を受け取った場合、その収入は「雑所得」として確定申告する必要があります。
尚、公的年金のみを受け取った人は、受け取り時に税金を差し引かれているので確定申告の必要はありませんが、確定申告をすると税金が戻ってくる可能性があります。
また、民間の生命保険会社などの個人年金を受け取った人、年金と給与の収入がある人は原則として確定申告をする必要があります。
今回は、年金受給者の確定申告について~必要書類&申告書の書き方について記入例つきでご紹介します。
年金受給者の確定申告書の書き方&必要書類は?記入例つきでご紹介!
「年金」には下記の2種類があります。
●恩給(一時恩給を除く)や以前勤めていた会社などから支給される年金等
●確定給付企業年金契約に基づいて支給される年金等
※遺族年金と障害年金は、非課税なので確定申告の必要はありません。
●生命共済契約による年金
●互助年金
公的年金や個人年金を一定額以上受け取るときは、所得税があらかじめ天引き(源泉徴収)されているので、確定申告で税金を精算することになります。
ただし、公的年金を受け取っている人でその年の公的年金の収入が400万円以下で、かつ、公的年金等以外の所得金額が20万円以下であった場合も申告の必要はありません。
※外国の法令にもとづく年金等を除く。
なお、公的年金は「雑所得」の扱いとなります。
雑所得には必要経費が認められますが、公的年金はそれに代わるものとして、公的年金等控除があります。
公的年金等の控除額は年金額や年齢、さらに公的年金以外の所得に応じて決まります。
尚、公的年金等の雑所得は、「公的年金等の収入金額の合計額-公的年金等の控除額」で計算します。
公的年金の所得金額の計算方法については下記の表もご参考に!
例えば、60歳で年金受給が年150万円の場合、年金受給金額に75%をかけて375,000円を引くことで所得金額を算出することができます。
年金受給者の確定申告 必要書類は?
◆公的年金等の源泉徴収票
◆生命保険料や地震保険料などの控除証明書
年金受給者の確定申告書の書き方&記入例
上記の公的年金等の源泉徴収票を基に、記入例つきで書き方を下記にご紹介します。
なお、確定申告書は【第一表】と【第二表】を使用します。
まずは【第二表】から記入していきます。
確定申告書【第二表】の記入
確定申告書の【第一表】の記入
上記の確定申告書の【第二表】の記入が終わったら次は【第一表】の記入を行います。
公的年金等の源泉徴収票の「支払金額」を記入します。
公的年金の収入金額を下記の【公的年金の所得金額の計算方法】の表に当てはめて算出します。
記入例の場合は、65歳以上に該当するため、
「13 社会保険料控除」欄には、【第二表】の「社会保険料控除」の合計金額を転記します。
記入例の場合は、他に配偶者控除および基礎控除の金額をぞれぞれ記入し、「13~24」までの控除の合計金額を「25 13から24までの計」欄に記入します。
記入例の場合は、
所得金額の合計-所得から差し引かれる金額の合計の金額を「30 課税される所得金額(12-29)」欄に記入します。
※1,000円未満の端数は切り捨てる。
記入例の場合は、
1,000円未満の端数は切り捨てによって、1,137,000円
次に、「30 課税される所得金額(12-29)」欄は、下記の【所得税額の速算表】を参照し、該当する金額の税率と控除額から算出します。
課税総所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
記入例の場合は、
尚、平成25年から復興特別所得税2.1%(※記載例では1,193円)も考慮した58,043円が最終的な所得税額になります。
次に、公的年金等の源泉徴収票の「源泉徴収税額」の金額を「48 所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」欄に記入します。
「49 申告納税額」欄は、「45-46-47-48」の金額を記載します。
記入例の場合は、
雑所得・一時所得の源泉徴収税額の合計金額を記入します。
まとめ
年金受給者の場合は、場合によっては申告が不要の場合もありますが、公的年金などを受給している場合は還付などもあるので毎年確定申告を行うほうがお得かもしれませんね。