多くの会社員の場合、ひとつの会社から給料をもらっているだけであれば、その会社で年末調整をしてもらうことで、原則、確定申告の必要はありません。
しかし、「副業(サイドビジネス)」などで稼いでいる場合、年間の所得額によっては確定申告を行う必要があります。
最近の働き方として、会社によっては副業を認める会社もあるなど、本業とは別に副業で収入を得る人も増えています。
働き方が多様化するからこそ、「知らなかった!」では済まされない確定申告の知識。
今回は、副業収入の確定申告について必要書類や書き方など記入例つきでご紹介します。
確定申告 副業収入の書き方&必要書類は?記入例つきでご紹介!
「副業」といっても、人それぞれ色んな働き方があると同時に、所得の種類で分類すると同じ「副業」でも違いがあります。
確定申告時などに必要な「所得税法」では、所得の種類が下記の10種類に分類されています。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
例えば、副業でマンション経営をしている場合は、「不動産所得」になりますし、夜の時間を利用して飲食店でアルバイトをしていれば「給与所得」に該当し、「給与所得を2か所からもらっている」ことになります。
また、インターネット関係のビジネスで稼いでいる場合や株式などに投資をして利益を出している場合などは「雑所得」となるなど、副業の中身によって、所得の種類が異なるという違いがあります。
ポイント
今回は、上記のような副業のなかでも最近多くなっている、インターネット関係による報酬がある場合の確定申告について書き方や必要書類などをご紹介します。
ネットショップでの売り上げやアフィリエイトによる収入、ブログ記事の作成、ネットオークションでの売上などは「雑所得」として確定申告をします。
副業の収入がある場合の確定申告の必要書類は?
◆給与所得の源泉徴収票
◆報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
副業の収入がある場合の確定申告の書き方&記入例
今回は、確定申告書の【第一表】と【第二表】を使用します。まずは【第二表】から記入していきましょう。
尚、ここでは下記のケースをもとに記入例を示していきます。
山本一郎さんは副業としてブログ記事を外注にて請け負っており、原稿料を下記のとおり受け取りました。
●原稿料収入:940,000円
●源泉徴収税額:92,000円
●必要経費:320,000円
副業のぶんは、「雑所得」となるため「所得の種類」欄には「雑(雑所得)」と記入し、原稿料収入と源泉徴収税額をそれぞれ記入します。
収入金額から必要経費を差し引いた金額が所得金額となります。
副業を会社に知られたくない場合などは、「自分で納付(普通徴収)」に丸印をつけましょう。
確定申告書の【第一表】の記入
上記の確定申告書の【第二表】の記入が終わったら、次は【第一表】の記入を行います。
給与所得の源泉徴収票の「支払金額」の合計金額および【第二表】の「所得の内訳」に記載した雑所得の収入金額の合計を記入します。
まずは、【本業】の給与所得分の所得金額は、源泉徴収票の「給与所得後控除後の金額」の数字を転記します。
次に、雑所得分の所得金額は、収入金額の合計から必要経費等を差し引いた金額を記入します。
記入例の場合は、
●【雑所得分】940,000円-320,000円=620,000円
「(13)社会保険料控除」欄には、【第二表】の「社会保険料控除」の合計金額を転記します。
記入例の場合は、他に生命保険料控除および基礎控除の金額をぞれぞれ記入し、「(6)~(15)」までの控除の合計金額を「(16)(6)から(15)までの計」欄に記入します。
記入例の場合は、
所得金額の合計-所得から差し引かれる金額の合計の金額を「(30) 課税される所得金額(12-29)」欄に記入します。
※1,000円未満の端数は切り捨てる。
記入例の場合は、
1,000円未満の端数は切り捨てによって、3,120,000円となります。
次に、「(30) 課税される所得金額(12-29)」欄は、下記の【所得税額の速算表】を参照し、該当する金額の税率と控除額から算出します。
課税総所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
記入例の場合は、
尚、平成25年から復興特別所得税2.1%(※記載例では4,504円)も考慮した219,004円が最終的な所得税額になります。
次に、申告書【第二表】の「(48)源泉徴収税額の合計額」の金額を「(48)所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」欄に転記します。
上記にて算出された数字をもとに「(45)-(46)-(47)-(48)」の金額を算出し、記載します。
記入例の場合は、
雑所得・一時所得の源泉徴収税額の合計金額を記入します。
まとめ
最近では働き方も多様化しており、副業などである程度の収があっても申告しない人も増えています。
正しい申告を行わない場合は下記の記事のようなペナルティも重いものになっていますので、正しく申告して余計なペナルティを受けないようにしたいものですね。
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