現在では、定年後に年金を受け取りながら会社で働き給与をもらうといった働き方も増えています。
年金と給与の両方を受け取っている場合は、確定申告で年金と給与をそれぞれ申告する必要があります。
今回は、年金&給与ダブルで収入がある人の確定申告書の書き方について記入例付きでご紹介します。
年金&給与ダブルで収入がある人の確定申告書の書き方は?記入例付きでご紹介!
給料としてもらっている収入は、基本的に所得税が源泉徴収されているため、「年末調整を受けているから確定申告をしなくてもいい。」と思われる方もいらっしゃいますが、年金に関しては年末調整の対象外ですので、原則として確定申告の必要があります。
給料として得た収入は「給与所得」、年金は「雑所得」として計算します。
詳しくは下記の記事もご参考に!
1月1日から12月31日までの1年間に得た収入が、給料と年金だけであれば、確定申告書で申告をします。
申告書の書き方としては、「給与所得」と年金の「雑所得」は、それぞれ別の計算にて算出し、申告書に記入する形になります。
年金と給与を受け取っている人の確定申告 必要種類は?
◆公的年金等の源泉徴収票
◆給与所得の源泉徴収票
◆社会保険料や生命保険料等の控除証明書
給与所得の源泉徴収票について
給与を受け取る際には、所得税が源泉徴収されています。(※金額が少ない場合は、所得税が0円の場合もあります)この源泉徴収されているかどうか?は、給与所得の源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄で確認できます。
尚、公的年金でも一定額以上の金額を受け取っている場合は、所得税が源泉徴収されています。こちらも公的年金等の源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄で確認できます。
その他に社会保険料(健康保険や介護保険料)や生命保険料を支払った場合などは、所得控除の適用となり、税額が軽減できますので、控除証明書などを見ながら忘れないよう記入しましょう。
確定申告書の書き方&記入例
今回は、確定申告書の【第一表】と【第二表】を使用します。まずは【第二表】から記入していきましょう。
確定申告書Aの【第一表】の記入
上記の確定申告書Aの【第二表】の記入が終わったら、次は【第一表】の記入を行います。
給与および公的年金等の源泉徴収票の「支払金額」を記入します。
給与の所得金額は、給与所得の源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄の金額を転記します。
年金の所得金額は「雑(カ)」欄に記入します。公的年金の収入金額を下記の【公的年金の所得金額の計算方法】の表に当てはめて算出し、その数字を記入しましょう。
記入例の場合は、65歳以上に該当するため、
所得金額調整控除の計算
令和2年より基礎控除は10万円増えましたが、給与所得控除と公的年金等控除で、控除額が合計20万円減額されています。
そのため、公的年金と給与の両方をもらっている人は、所得が10万円増えるケースがあり、調整措置として、給与所得控除後の給与所得の金額と公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円超の場合、「所得金額調整控除」を受けられるようになりました。
計算式は下記のとおりです。
所得金額調整控除=給与所得控除後の給与等の金額(上限10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額(上限10万円)-10万円
記入例の場合、
【給与所得控除後の給与等の金額】
940,000円-550,000=390,000円 ※上限10万円のため →10万円①
【給与所得控除後の給与等の金額】
3,255,830円-1,100,000円=2,155,830円 ※上限10万円のため →10万円②
【所得金額調整控除】
①10万円+②10万円-10万円=10万円
【所得金額】
(390,000円-100,000円)+2,155,830円=2,445,830円
となります。
「(13)社会保険料控除」欄には、【第二表】の「社会保険料控除」の合計金額を転記します。
記入例の場合は、他に配偶者控除および基礎控除の金額をぞれぞれ記入し、「13~24」までの控除の合計金額を「(25)(13)から(24)までの計」欄に記入します。
記入例の場合は、
となります。
所得金額の合計-所得から差し引かれる金額の合計の金額を「(30) 課税される所得金額(12-29)」欄に記入します。
※1,000円未満の端数は切り捨てる。
記入例の場合は、
1,000円未満の端数は切り捨てによって、1,327,000円
次に、「(30) 課税される所得金額(12-29)」欄は、下記の【所得税額の速算表】を参照し、該当する金額の税率と控除額から算出します。
課税総所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
記入例の場合は、
となります。
尚、平成25年から復興特別所得税2.1%(※記載例では1,393円)も考慮した67,743円が最終的な所得税額になります。
次に、公的年金等の源泉徴収票の「源泉徴収税額」の金額を「(48)所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」欄に記入します。
上記にて算出された数字をもとに「(45)-(46)-(47)-(48)」の金額を算出し、記載します。
記入例の場合は、
ここで+になる場合は、還付ではなく徴収になります。今回は△となりますので「(52)還付される税金」欄に記入します。
公的年金等以外の合計所得金額(※所得金額調整控除(年金等)を控除する前の金額で計算)の記入します。
「雑所得・一時所得等の源泉徴収税額の合計額」の欄は【第二表】の「48源泉徴収税額の合計額」の金額を記入します。
まとめ
私も毎年、自分の父親や母親の確定申告を手伝っています(ほぼ私がやってるかな?^^;)が、確定申告は年に1度ということもあって、時期になると「どう書くんだっけ?」と戸惑いがちです。
そんな時には、是非ご参考にされてくださいね。