自分や家族の医療費を支払ったときに受けられる「医療費控除」。
平成29年からは「セルフメディケーション税制」がはじまり、通常の医療費控除とどちらか有利なほうを選んで申告できるようになりました。
年間の医療費って改めて計算してみると、意外と額が大きいもの。
賢く、正しく申告して控除を受けたいものですが、「いざ!やってみよう!」と思っても、なんだかむずかしく感じてしまうもの。
でも、ポイントを抑えれば、そんなにむずかしくないんですよ!
今回は、確定申告の医療費控除の明細書の書き方を記入例付きでご紹介します。交通費や治療内容など「どう書くの?」と疑問に思ったら是非参考にされてみてくださいね!
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平成29年分から医療費控除の申請方法が変更になりました
平成29年1月1日から、特定の医薬品(スイッチOTC医薬品)を購入した人が要件を満たしている場合に、医療費控除の特例として所得控除を受けられる「セルフメディケーション税制」が始まりました。
これは、医療費の削減を目的として、自らの体調管理を市販薬などで行っている人が所得控除を受けられるようにしたものです。
通常の「医療費控除」では対象外だった人でも、この「セルフメディケーション税制」の対象にはなる場合もあります。
セルフメディケーション税制についての詳細や確定申告方法については下記の記事をご参考に!
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なお、セルフメディケーション税制は医療費控除の特例のため、従来の医療費控除と同時に利用することはできません。
「セルフメディケーション税制」と従来の「医療費控除」のいずれかを選択することになります。
セルフメディケーション税制による医療費控除の特例がはじまったことで、従来の医療費控除も申請方法が変更されました。
変更のポイントを下記にご紹介します。
②「医療費控除」を申告する場合、「医療費控除の明細書」の添付が必要になった。
③「医療費控除」を申告する場合、医療費の領収書の添付または提示が必要なくなった。
◆所定の事項が記載された「医療費通知」(医療費のお知らせなど)を提出する場合は明細書の記載や領収書の保管を省略することができます。
ポイント
ポイント
まずは、確定申告で医療費控除に必要な書類を確認しましょう。
- ①確定申告書
- ②医療費の明細書
>>>医療費控除の明細書 - ③源泉徴収票(会社員の場合)
- ④医療費の領収書
- ⑤医療費通知(医療費のお知らせ)
①の確定申告書への記入は、 「②医療費の明細書」または「医療費控除の明細書」の記入が済んでから書くようにします。
医療費の明細書への記入例
医療費通知(医療費のお知らせ)&医療費控除の明細書にての新しい申告方法では、上記のような様式の「医療費控除の明細書」を使用します。
下記に各箇所の書き方について記入例つきでご紹介していきます。
1 医療費通知に関する事項
ここには、
②①のうち、その年中に実際に支払った医療費の額
③②のうち、生命保険や社会保険などで補填される金額
医療費通知とは?
医療費通知とは、「健康保険証」を発行する「健康保険組合」などの医療保険者が発行する医療費の額等を通知する書類です。(※上記の図、参照)
これまでも「医療費通知」や「医療費のお知らせ」などの名称などで目にしたことがある方は多いのではないでしょうか?
定期的に送られてはくるものの、どう活用すればいいのか疑問に感じていた人もいるかもしれません。
それこそ、医療費控除の際に活用できれば領収書の添付なども必要なく便利だと感じていたものですが、平成29年分からは、めでたくこの通知書を活用することになり、「領収書」の添付の必要がなくなりました。
ポイント
ポイント
そのため、確定申告の際には1月~12月までの1年間の申告となるため、「医療費通知」(医療費のお知らせなど)には、記載されていない(11月12月分など)ものもあります。
「医療費通知」(医療費のお知らせなど)をよく確認して、記載のないものがあれば別途明細書に記載が必要になるのでご注意ください。
健康保険組合などから「医療費のお知らせ」や「医療費通知」などの通知書が届いたら、とりあえず捨てずに、医療費控除で使えるので保管しておきましょう。
なお、「1 医療費通知に関する事項」に記入した「医療費のお知らせ」などについては、確定申告書と一緒に提出する必要があります。
では、「1 医療費通知に関する事項」の各箇所の書き方は下記にご紹介します。
※医療費通知に記載された医療費の額は、実際に支払った金額と異なる場合があるため、実際に支払った領収書などと見比べ、確認し、合計額を記入します。
※生命保険契約、損害保険契約または健康保険法の規定等に基づき受け取った保険金や給付金(入院費給付金、出産一時金、高額療養費など)がある場合に、その金額を記入します。
平成29年以降から利用できる新しい申告方法で確定申告する場合は、領収書の提出の代わりに「医療費控除の明細書」の提出が必要となり、各健康保険組合等から送られてくる医療費通知(医療費のお知らせ)の添付が必要となります。
医療費通知(医療費のお知らせ)に間違いがなければ、その医療費通知に記載されている金額を医療費控除の明細書に転記して終了となるわけですが、医療費通知に記載された医療費の額は、実際に支払った金額と異なる場合があるため、領収書を確認する必要があります。
そのため、従来通り医療機関や薬局などの領収書はきちんととっておいて、医療費通知に記載されている金額と照らし合わせる作業も必要となります。
「医療費通知」(医療費のお知らせなど)は、1月~10月までの医療費について記載されているのが一般的です。
そのため、確定申告の際には1月~12月までの1年間の申告となるため、「医療費通知」(医療費のお知らせなど)には、記載されていない(11月12月分など)ものもあります。
「医療費通知」(医療費のお知らせなど)をよく確認して、記載のないものがあれば別途明細書に記載が必要になるのでご注意ください。
また、明細書の記入内容の確認のため、医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります。後日、税務署から領収書の提示または提出を求められる場合がありますので、領収書はしっかり保管しておきましょう。
2 医療費(上記1以外)の明細
ここには、その年中に自己または生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費について、領収書から必要事項を記入します。
注意ポイント
※「その他の医療費」には、通院費や医療用器具の購入などがある場合にチェックします。
※診察などで同じ病院に複数回通院している場合には、まとめて記入してもOKです。
例)
5/13 ○○病院 診察:1,630円、その際の通院費(JR、△△バス):往復2,430円
5/18 ○○病院 診察:1,630円、その際の通院費(JR、△△バス):往復2,430円
○○病院計:3,260円、通院費計:4,860円
※生命保険契約、損害保険契約または健康保険法の規定等に基づき受け取った保険金や給付金(入院費給付金、出産一時金、高額療養費など)がある場合に、その金額を記入します。
上記を全部記入し終わったら、それぞれの合計額を計算し、「ウ」と「エ」欄に記入し、「医療費の合計」欄も記入します。
医療費の明細書【控除額の計算】の記入例
「B保険金などで補填される金額」がない場合は、「A支払った医療費」の金額をそのまま記入します。
サラリーマンの方などの場合は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を記入します。
所得金額が200万円未満の場合は、医療費の合計が10万円以下でも医療費控除を受けることができる場合があります。
この金額は、確定申告書の「所得から差し引かれる金額の医療費控除」に記入する金額となります。
まとめ
いかがでしたか?
医療費控除は平成29年以降からは改正が行われ、申告方法も変わりました。
その年によっては、「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」のどちらを選択するのがいいのか?について確認してからそれぞれの準備が必要になってきます。
これからは、各個人が賢く申告し、節税対策をしっかり行う時代になってくるのかもしれませんね。