お正月には、さまざまな行事があり、それぞれに深い意味があるものです。
お正月の食卓に並ぶおせち料理とともに新年にいただくお屠蘇にも意味があるんですよ。
今回は、お屠蘇の由来や意味&飲み方や飲む順番など、お屠蘇についてご紹介します。
お屠蘇とは?由来や意味は?
「お屠蘇」は、薬種の一種で、「邪気を払い、不老長寿を得る」と信じられ、中国から平安時代に伝わり、宮中の元日の儀式として取り入れられ、やがて庶民にも広がっていきました。
お屠蘇は「屠蘇散(とそさん)」という山椒、桔梗、肉桂、陳皮などの数種の薬草を調合したものを大晦日のうちに日本酒に浸して作ります。
お屠蘇の原料とその効能
- 山椒(さんしょう):整腸、健胃作用
- 白朮(びゃくじゅつ):利尿作用
- 防風(ぼうふう):解熱作用
- 赤小豆(せきしょうず):解熱作用
- 陳皮(ちんぴ):風邪症状緩和作用
- 肉桂皮(にっけいひ):健胃作用
- 桔梗(ききょう):鎮痛作用
参考
「屠蘇散(とそさん)」は、薬局などでもパック入りで売っています。
アルコールが苦手な人や、お子さんには、日本酒の代わりにみりんで作るとよいでしょう。
現在では、日本酒だけを飲むご家庭も増えていますが、昔ながらのお屠蘇を試してみるのもいいかもしれませんね。
お屠蘇の飲み方&飲む順番など正しい作法をご紹介!
年の初めに祝いとして飲む「お屠蘇」。
1年の邪気を払い、長寿をもたらすとされ、現在でもその風習は受け継がれていますが、お屠蘇にも飲み方や飲む順番があるのをご存知ですか?
元旦は新年のはじまりの日で、どの家にもその年の神様が降りてくるとされていました。
その神様を歳神様といい、新しい年の豊作や幸福をもたらす神様とされています。正月は、その歳神様を迎える儀式です。
正月の祝い膳もそのひとつで、お正月におせち料理を食べるのは、神様に供えたごちそうを皆でいただくという意味と、神様を迎えている間は煮炊きを慎むということからきています。
正月の祝い膳は、お屠蘇、おせち料理、お雑煮の順にいただくのが正式な作法とされています。
お屠蘇の作法とは?
元日に家族全員が揃い、家長のお酌で若い人から先に杯を回して飲みます。年少者が先に飲む理由として、若者の活気にあやかるためともいわれています。
ポイント
お屠蘇を入れる屠蘇器は、大・中・小の三種類の大きさの、いわゆる三つ重ねの盃を使い、朱塗りまたは白銀など慶事に使われる色のものを用います。
三つ重ねの盃の場合、正式には「屠蘇三献(とそさんこん)」といい、上から順番に1杯ずつ計三杯飲み、次の人にまわします。
ポイント
お屠蘇の略式の手順の一例
- ①飲み手は、年長者(家長)の正面に座り、お互いに一礼。
- ②飲み手は、年長者(家長)からすすめられた盃台から盃を取ります。
※略式の場合は、大盃と小盃を屠蘇台へ戻し、中盃だけを手に取ります。 - ③年長者(家長)は、飲み手の盃へ屠蘇を注ぎます。
※略式の場合は、1つの盃に対し3回注ぎ、飲み手は3回に分けて、一・二口目は少し飲み、三口目で飲み干します。
※お酒が飲めない方やお子さんは、盃に口をつけ、飲むまねごとだけでもOKです。 - ④飲み終えた後、飲み手は、盃を盃台へ戻し、飲み手と年長者(家長)お互いに一礼します。
お屠蘇の飲み方は時代とともに簡略化され、現在では略式が主流となっています。
ご家庭によっては、予備の盃を用意して、家族全員で同時に乾杯をされるところもあったりと、それぞれのやり方でお屠蘇をのむ場合も多くなっています。
まとめ
現在では、日本酒だけをお屠蘇として飲むところも多いですが、本来は屠蘇散という薬草を浸したものを用います。
昔から新年の幕開けは大事な節目として迎えられ、これまでの感謝と、これからもみんなが無病息災でいられるよう祈願しながら大切に過ごすものでした。
正月の膳を代表するおせち料理も、縁起を担いださまざまないわれのあるものが並びますが、お屠蘇にも意味やいわれがあるものです。
1年に1度の新しい新年の幕開けに、家族の健康を願い、そして無事に新年を迎えられたことに感謝しつつ、大切にいただきたいものでもありますね。