近年、人気が高まっている「ふるさと納税」。
申請の条件を満たしていれば、確定申告をしなくても控除を受けられるワンストップ特例制度なども登場し便利になりましたが、ワンストップ特例制度を利用しない場合、ふるさと納税の控除を受けるためには、ふるさと納税を行った翌年の2月~3月に確定申告を行う必要があります。
確定申告というと「難しい」、「面倒くさい」という印象がつきものですが、書き方を理解すれば意外と簡単なもの。
そこで今回は、ふるさと納税をした人の確定申告はどうする?方法や書き方を記入例つきでご紹介します。
ふるさと納税をした人の確定申告はどうする?方法や書き方を記入例つきでご紹介!
ふるさと納税の流れ
上記の図のように、ふるさと納税には2通りの方法があります。
ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用すると確定申告を行う必要がないため便利なんですが、制度の利用には条件などもあるので、下記の「ふるさと納税ワンストップ特例制度とは?」をご参照ください。
ふるさと納税ワンストップ特例制度とは?
2015年の4月から、もともと確定申告が不要であった給与所得者などであれば、このふるさと納税のためだけに確定申告を行う必要がなくなりました。
この特例制度を利用できるのは下記の条件を満たしている人となります。
- ①確定申告の不要な給与所得者など
※事業所得のある事業主や、給与所得者でも副業をしている人、医療費控除などの所得控除を受ける必要のある人は、確定申告を行い、「寄附金控除」を受ける必要があります。 - ②ふるさと納税を行った自治体の数が5自治体以内
※6回以上ふるさと納税を行っても、5自治体以内であればワンストップ特例制度を活用できます。
上記の条件を満たしている場合は、ふるさと納税を行うときに「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」を提出することで、所得税からの控除は行われませんが、翌年の住民税が減額されます。
ポイント
もちろん、ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用できる人であっても、利用せずに確定申告を行って控除を受けることが可能です。
また、ふるさと納税ワンストップ特例の申請書を出し忘れてしまった場合も、確定申告をすれば問題ありません。
ワンストップ特例は、寄附先の自治体に申請書を提出すれば確定申告が不要になるという制度です。
ただし、確定申告をすると、この申請が無効になってしまいます。
確定申告で申告する場合には、ふるさと納税分も寄付金控除の対象に含めるようにするよう注意も必要です。
ワンストップ特例を使うか、確定申告をするか、どちらを使うか考えて行いましょう。
(※申告期間後でも、更正の請求をすれば寄附金控除を受けられます。)
ふるさと納税の確定申告はいつからいつまでなの?
確定申告は、1年に1回行われ、確定申告の対象となる期間は、毎年1月1日から12月31日までの1年間分となります。
確定申告の提出期限は2月16日から3月15日までですが、最終日が土日になる年は、週明けの月曜日が提出期限となります。
確定申告の手続きは、「所得税の確定申告書」に必要な事項を記入して、会社員や年金生活者の人はお住まいの地域の税務署に、事業主の人は基本的に事業所の所在する地域を管轄する税務署に提出します。
なお、「所得税の確定申告書」は、全国どこの税務署でも配布していますし、税務署以外でも、各市区町村役所の税金担当の窓口、国税庁のホームページからも申告書をダウンロードしたものを印刷し、記入して提出することも可能です。
>>>国税庁のホームページ 所得税の確定申告書のダウンロードページ
ふるさと納税の控除額の計算
都道府県、市町村に対して寄附(ふるさと納税)をすると、寄附(ふるさと納税)額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで、原則として所得税・住民税から全額控除されます。
尚、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。
※所得税率は復興特別所得税の税率を加えた率となります。
◆この場合、①、②及び④の3つの控除を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます。
注意ポイント
今までは、控除を受けるために、ふるさと納税をした翌年に、確定申告が必要でしたが、平成27年4月1日から確定申告が不要な給与所得者等について、確定申告が不要で控除が受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が始まっています。
ワンストップ特例は、寄附先の自治体に申請書を提出すれば確定申告が不要になるという制度です。
ただし、確定申告をすると、この申請が無効になってしまいます。
確定申告で申告する場合には、ふるさと納税分も寄付金控除の対象に含めるようにするよう注意も必要です。
ワンストップ特例を使うか、確定申告をするか、どちらを使うか考えて行いましょう。
(※申告期間後でも、更正の請求をすれば寄附金控除を受けられます。)
◆給与所得の源泉徴収票
◆特定寄付金の受領書
◆税額控除対象法人であることを証明する書類の写し(認定NPO法人以外で税額控除制度を適用する場合)
ふるさと納税をした人の確定申告の書き方&記入例
ふるさと納税額:100,000円
確定申告書には、【第一表】と【第二表】がありますのでどちらも漏れなく記入していきます。
源泉徴収票の「支払金額」を記入します。
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を記入します。
申告書では「所得から差し引かれる金額」にその14種類の所得控除額を記入します。
【14種類の所得控除額】
●社会保険料控除
●小規模企業共済掛金控除
●生命保険料控除
●地震保険料控除
●寡婦(寡夫)控除
●勤労学生控除
●障害者控除
●配偶者控除
●配偶者特別控除
●扶養控除
●雑損控除
●医療費控除
●寄附金控除
年末調整時から生命保険料控除や配偶者控除、扶養控除などの所得控除に変更がない場合で、そこに寄附金控除だけが加わる場合は、社会保険料控除から基礎控除までの部分を取りまとめ、そこに寄附金控除だけを加筆するという書き方でもよいとされています。
記入例の場合は、源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」の金額を記入します。
次に寄附金控除額欄を記入します。「寄附金額」と「所得金額の合計(第一表(6)の金額)×40%」の少ない方の金額-2000円。
記入例の場合は、
◆所得金額の合計:4,360,000円×40%=1,744,000円
100,000円<1,744,000円
これにより、少ない方の金額100,000円-2000円=98,000円(寄附金控除額)を「28 寄附金控除額」欄に記入し、「25 13から24までの計」+「28 寄附金控除」の合計金額を「29 合計25+26+27+28」欄に記入します。
所得金額の合計-所得から差し引かれる金額の合計の金額を「30 課税される所得金額(12-29)」欄に記入します。
※1,000円未満の端数は切り捨てる。
「30 課税される所得金額(12-29)」欄は、下記の【所得税額の速算表】を参照し、該当する金額の税率と控除額から算出します。
課税総所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
記入例の場合は、下記の計算により算出した金額を記入します。
●2,402,000×10%-97500=142,700
尚、平成25年から復興特別所得税2.1%(※記載例では2,996円)も考慮した145,696円が最終的な所得税額になります。
次に、源泉徴収票の「源泉徴収税額」の金額を「45 所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」欄に記入します。
給与からの源泉徴収税額は194,500円差し引かれていましたが、実際の正しい税額は145,696円のため、記入例では48,804円が還付されることになります。
確定申告書Aの【第二表】の記入
第二表に、寄附金の状況を記載します。
自治体が発行した「受領証明書」を確認しながら、寄附先の名称、所在地、寄附額を記入します。「寄附金税額控除」欄の上段「都道府県、市区町村分」へも金額を記入します。
尚、「所得の内訳」は、源泉徴収票の「支払い金額」および「源泉徴収税額」欄の金額をそれぞれ転記します。
まとめ
ふるさと納税は、所得税よりも住民税からの控除が大きいので活用することでメリットも大きい節税対策となります。