お正月についたり、頂いたりしたお餅。小腹がすいたので食べようかな?と思ったときに、お餅を見てみると…カビが…Σ(゚д゚lll)ガーン
お餅はきちんと保存しておかないとすぐにカビが生えてしまいます。
昔は、「お餅に付いた表面のカビを取り除けば食べられる」なんて言われていましたが、果たして本当でしょうか?
今回は、お餅にカビが生える原因や、食べても大丈夫なの?カビの防止法などご紹介します。
お餅にカビが生える原因は?
お餅は油断していると2~3日でカビが生えてしまいますが、なぜお餅にはカビが生えやすいのでしょう?
カビの発生するための条件
カビ菌が繁殖するためには必要な条件があります。
それは、適度な「温度」「湿度」「空気(酸素)」「養分」です。
この4つの条件が揃うことで、カビは爆発的に繁殖してしまいます。
ですので、カビを抑えるにはこの4つの条件を取り除くことが大切になってきます。
温度
カビが発生しやすい温度帯は20~30℃です。
特に25℃前後は最も活発にカビが発生・繁殖します。
注意ポイント
また、カビは低温度でも繁殖する(好冷菌)ものもありますので冷蔵庫の中でもカビが生えます。
湿度
空気中の水分が多いほどカビは発生します。
空気中の湿度(相対湿度(RH))が80%を越えてくるとカビの発生が非常に高くなります。
ポイント
空気(酸素)
カビには酸素が必要不可欠です。
カビの菌糸や胞子が素材の表面に広がるのは空気中の酸素を取り込む必要があるからです。
カビは他の条件(温度・湿度・養分)が揃っていても、「酸素」がないと成長することが出来ません。
養分
カビ菌は「タンパク質」「炭水化物」「アミノ酸」「脂肪」「無機塩類」等で構成されています。
カビは、これらの栄養物を外から自力で摂取しなければならないため、菌糸は植物が根を張るように内部に伸ばします(一般的には3㎝程度根を張ると言われています)。
ポイント
お餅にカビが生えやすいのは、お餅は「でんぷん」「たんぱく質」「水」「脂質」などで出来ているため、カビの大好物な栄養分と湿気(「たんぱく質」「水」「脂質」)をたくさん含んでおり、カビが発生する条件が揃いやすいからです。
お餅に生えるカビの種類は?
カビの発生する条件などは上記でご紹介しましたが、もう少し敵(カビ)について知るために、お餅につきやすいカビ菌の種類についてご紹介します。
お餅に生えているカビをよく見てみると、緑や赤や黒などの色が付いたカビを見つけることができます。
これらの色は違う種類のカビが生えている証拠です。
また、同じ色をしていても、カビ菌は1種類だけではなく、数十種類~数百種類とも言われていますので、数えられませんがたくさんの種類のカビ菌がお餅に生えている状態になります。
お餅に生える主なカビは、「クロカビ」「アオカビ」「コウジカビ」「アカカビ」「カワキコウジカビ」などが代表的で、空気中や風の通りにくい場所に潜んでいることが多いです。
お餅につく代表的なカビの特徴や発生しやすい場所などご紹介します。
(発生しやすい場所などを知っておくとカビがつく経路などがわかりますよ)
クロカビ(クラドスポリウム)
元々は土壌のカビですが、風に吹かれるなどして空気中に飛散するため空気中に最も多いカビです。
好湿性で中温性で薬剤にも弱いが、一旦繁殖すると薬剤に対して相当な抵抗性を示します。
風呂や台所等の水まわりによく発生します。また、畳や壁、プラスチック、皮革などにも発生します。
アオカビ(ペニシリウム)
ペニシリンを生成するカビとして知られていますが、アレルギー症のアレルゲンとされています。
自然界で広く分布されているカビで、耐寒性のあるカビですので、冷蔵庫内で生えるカビとしても有名です。
絨毯、ベニヤ板、皮革等にも発生しますが、押入れや結露の多い壁、畳にも多く見られます。
発生すると真白か緑色に見えます。乾燥に強いので、乾いた場所でも数年は生きるカビです。
コウジカビ(アスペルギルス)
アオカビと同じく耐乾性で、中温~高温性のカビです。日本の家屋内などに多く、畳、壁、木材、繊維等によく発生します。
コウジカビは醸造等に使用される有用な菌もありますが、人や動物に病気などを起こさせたり、食べ物を変敗(カビによる腐敗)させ有害物質を出したり、工業製品等を劣化させたりします。
アカカビ(フザリウム)
土壌のカビで農作物の病原菌(アカカビ病)の原因にもなるカビです。食品類などに付着した場合、食中毒(カビ毒トリコセテン)の原因にもなります。
空気中に分布し、畳、壁、風呂、台所等に発生します。
カワキコウジカビ(ユーロチウム)
乾燥に非常に強いカビで、数年に渡って生き続けます。畳、絨毯や家の塵(チリ)に多く見られます。また、本、フィルム、ガラス等にも発生します。
これらのカビにも有用性のあるものもありますが、ほとんどは強い毒性を持っているなど、人体に害を与えるものが多いです。
このように、主なカビ菌でも、発生しやすい場所や特徴を持っていますので、お餅にカビが生えにくくするためには、カビの発生しやすい場所などは清潔にしておくことも必要ですね。
お餅にカビが生えたものを食べても大丈夫なの?
私の祖父母は「お餅のカビは取ってしまえば大丈夫!捨てるとバチが当たる」と言って、お餅のカビの生えた部分を取り除いて食べていました。
子供のころは、私もそれを信じてお餅を食べていたものです…(TT)
現在は、カビの研究も進み、カビの有用性も証明されている一方、多くのカビ菌が発がん性の高い毒や、アレルギーを起こすアレルゲンを出すことがわかっています。
昔は、チーズを発行させたり、ペニシリンを精製原料として使われている「アオカビ」などでも、実際は150種類ほどの菌があり、有用性のあるものはこの中のほんの一部と言われています。
そして、人体に良いカビか悪いカビかなどの見分け方も専門家の目を持ってしても、一目でわかるものではないとされています。
また、カビの中には、耐熱性が強いものも存在していますので、焼いたり、茹でたり、揚げたり(熱処理を加える)しても決して安全とは言い切れないんです。
表面に生えたカビを取り除いてもダメ!?
上記でご紹介したように、カビには、有用性のある菌も存在していますが、ほとんどが人体に悪影響を与える可能性が高いと言わざるを得ません。
ですので、「カビの生えたお餅は食べてはいけません!」
また、もちろん表面についたカビを取り除いただけでは安全ではありません。
お餅に生えたカビには、「酸素」を取り込むために胞子や菌糸を表面に発生させ、「養分」を取るために菌糸を内部に根を張るように伸ばします。
カビの菌糸は内部に根を張っているため、表面だけではなく、内部に張っている菌糸まで取り除かないと、安全とは言えないのです。
お餅のカビを包丁などで削り取った後でも「あれ?カビ臭い」と感じるのは、それはカビの菌糸がまだ内部に残っている証拠なのです。
カビの部分を取り除いて食べたい場合は、お餅を3~4cm程度削り取ってしまうことが必要ですが、大きな鏡餅でない限り、削り取ると食べる部分がほとんど無くなってしまうので、結局食べる部分が無くなってしまいます…
また、鏡餅などの大きいものでも、時間が経てば経つほど、カビは広がります。
その分、菌糸も深く根を張りますので3~4cm程度削り取っても十分でない可能性も非常に高いです。
繰り返しますが、「カビが生えたお餅は食べられるの?」の答えとしては、「もったいないけど、カビの生えたお餅は食べてはいけない!」を徹底して下さいね。
餅にカビがつく前の防止策をご紹介!
今回カビが生えてしまったお餅は、勉強代としてもったいないですが諦めて、その代わり、次回からはお餅にカビが生えにくい方法を実践して、余すことなく食べきれるようにすることが、今回諦めてしまったお餅への供養にもなります。
空気中などにカビ菌は存在していますので、100%カビの発生を防ぐことは現実的には不可能です。
しかし、上記でも少しご紹介したように、カビは適度な「温度」「湿度」「空気(酸素)」「養分」が揃っていないと元気に生きていけません。
ということは、これらの条件を揃わないような保存方法をすれば、お餅にカビが発生するのを遅らせることが出来ます。
では、お餅の保存方法を簡単にご紹介します。
- 冷凍保存
長期間保存する場合に有効。
保存期間は、数カ月~1年程度保存が可能。 - わさび保存(からしでも可)
わさびの殺菌作用を利用した保存方法。
保存期間は、1週間~1カ月程度 - 水餅保存
昔から伝わる保存方法。
水に漬けこむことで空気に触れさせないようにする。
※毎日水を交換することが必要。
保存期間は、1カ月~数カ月程度 - 使い捨てカイロ保存
密閉容器に使い捨てカイロを入れて、酸素をなくす保存方法。
保存期間は、1週間~10日程度 - 乾燥保存
お餅を天日干しすることによって乾燥させて保存する方法。
※時間が経つと飴色になります。
保存期間は、半年~1年以上
上記でご紹介した保存方法については「餅の保存方法 冷凍の場合や冷蔵庫&常温など用途に合わせた方法をご紹介!」で詳しくご紹介していますのでこちらも併せてご覧ください。
お餅につくカビの防止策として、これらの保存方法を合わせてうまく活用すれば、お餅にカビが生えるのを遅らせることができるので、いままでよりもお餅を無駄なく食べられるようになるはずです。
まとめ
お餅にカビが生えてしまった場合は、もったいないですが健康の為にも食べるのはやめましょう。
また、カビは「温度」「湿度」「空気(酸素)」「養分」の条件が揃うとアッという間に生えてしまします。
逆に言えば、これらの条件が揃わなければ、カビの発生を遅らせることも出来ます。
次回からはお餅を余すことなく食べられるように防止策を実践してみてくださいね。