領収書を書かなければいけない場面で、正しい書き方を知らなかったり、間違った書き方で覚えてしまっていると、自分ばかりでなく領収書を渡す相手にも迷惑な結果になる場合があります。
領収書について知っているようで知らない人も多いもの。
今回は領収書を書く側の今さら聞けない領収書のマナーについてご紹介します。
領収書の書き方 宛名は?
領収書は、商品やサービスに対して、お金を支払う側が確実に代金を支払ったということの証明に、またお金を受け取った側が確実に代金を受け取ったことを証明するために発行されるもので、金銭の支払いや金銭の受領の証拠としての役割を果たしているのが「領収書」です。
領収書に必要な項目
領収書に記載すべき事項は、消費税法で定められています。
また、経理処理上や実務的な記載上、会社ごとに書式が定められている場合もあります。
基本的には以下に記載する6項目を満たしていれば大丈夫ですのでしっかりと覚えておきましょう。
①領収書発行日の記載
日付の記載は税務処理上に非常に重要ですので、記載漏れのないよう注意しましょう。
②領収書の宛名の記載
◆空欄は原則しない。
厳密な金銭の授受を証明するのであれば、宛名を空欄にすることはNGです。
◆「上様」との記載
かつては宛名が「上様」でも問題なく処理されていましたが、最近では不正請求の防止の観点から正式な宛名での記載が求められています。
◆宛名を略して記載
会社名などで「株式会社」を「㈱」と略したりすることもよく見かけますが、領収書を受け取る側の許可が得られれば、略しても問題ありませんが、そうでない場合には略さず書くのが社会通念上の常識です。
③金額の記載
金額の記載は、改正や改ざんができないようにするために、記載方法にルールがあります。下記の2点のポイントをしっかり覚えましょう。
◆数字の先頭の前に「¥」または「金」を付加し、末尾には「※」「也」「―」を記載します。
※「也」を使う場合には、数字の先頭の前は「金」を用います。
◆数字の3桁ごとに「,」を記入し、桁数を増やすなどの不正を防ぎます。
④但し書きの記載
支払われた代金が、どんな商品やサービスに対するものなのかを明確にするために必ず記載します。
⑤領収書を発行する側の住所と氏名と押印
領収書を発行する発行者の住所・氏名(会社名)を記載し、認め印を押します。
⑥収入印紙の貼付
平成26年4月1日以降、印紙税法が改正され、受取金額が5万円以上の場合は収入印紙の貼付が必要です。
故意に収入印紙を貼らなかったり既定の金額相当額を貼付しなかった場合には罰金もありますので注意しましょう。
領収書を発行する際に大切なポイントとして、「不正な改ざんがされないようにすること」、「【いつ・だれが・どこで・何を・いくらで】が明確に記載されていること」があります。
領収書を受け取る側にとっても、渡す側にとっても、双方にとって確かな取引を証明できる大切な証拠文書となりますので、いざという時に困らないよう面倒でも、正しい領収書を発行するよう心掛けましょう。
領収書の書き方 但し書きは?
領収書の但し書きとして、一般的に「品代として」という記載をよく見かけます。
但し書きには、「何に対して」金額の受け渡しが行われたかを証明する事項でもありますので、記載内容は重要となります。
但し書きが「お品代」の場合、何を買ったのか分からないということがあり、何に使ったのかよく分からない領収書については「使徒不明金」に該当する可能性もあるため注意が必要です。
領収書を受け取る側の許可が得られれば「お品代」としての記載も問題ありませんが、正式な領収書として認められない場合もありますので、何に対する支払いなのかが分かるように明記するようにするのが安心です。
領収書はレシートじゃダメなの?
基本的にはレシートはダメではありません。昔はレシートに店名や住所・品名の記載がないものが多かったのですが、今ではレシートにも店名や住所の記載はもちろん、品名についても商品名が詳しく記載されているものもあるほどです。
領収書は、金銭の支払いや金銭の受領の証拠としての役割を果たすものですので、使途不明なものに対してはその証拠能力が証明できませんが、レシートの場合は、品名の詳細など「何に対して」の取引なのかが明確なため、場合によっては領収書よりも明確な証拠文書ともなります。
しかし、レシートの欠点として「宛名」の記載がなされていないという点が挙げられます。
「誰に」対して発行されたものなのか?が明確でない以上、証拠文書としては説得力に欠けるため、会社などによっては「領収書しか認めない」としているところもあるのです。
領収書を発行する側としては、領収書を受け取る側への確認をしっかりと行い、「レシート」または「領収書」どちらかの発行をするようにしましょう。
レシートと領収書の両方を発行してしまうと、不正請求に用いられることもあるため、領収書を受け取る側へ確認し、どちらか一方だけを渡すようにしましょう。
どちらも必要と言われる場合には、レシートのコピーを渡すなどして原本は発行側で管理するようにするのもひとつの方法です。
領収書の書き方 収入印紙はどうする?
領収書で一番「どうだっけ?」となりやすいのが収入印紙の貼付の場面です。
「収入印紙が必要なのはいくらからだっけ?」
「収入印紙はどう貼るの?」
など、慣れない場合には一番戸惑いも多い箇所ですので、しっかり確認しておきましょう。
尚、故意に収入印紙を貼らなかったり既定の金額相当額を貼付しなかった場合には罰金もありますので注意しましょうね。
>>>【収入印紙の基礎知識】収入印紙はなぜ必要なの?貼らないとどうなる?収入印紙が必要なものとは?
領収書で収入印紙が必要になる金額は?
平成26年4月1日以降、印紙税法が改正され、受取金額が5万円以上の場合は収入印紙の貼付が必要です。
尚、金額に応じて必要な収入印紙の金額も変わりますので、下記の記事をご参照ください。
また、受取金額が5万円以上でも消費税の記載方法等によっては必要な場合と必要ない場合などありますので、金額の記載方法についても下記の記事を読んでしっかりと身に付けておきましょう。
>>>【収入印紙の基礎知識】領収書の収入印紙はいくらから?収入印紙の金額一覧もご紹介!
収入印紙はどう貼るの?
領収書によっては、収入印紙を貼付する箇所が設けられていたりしますので、所定の箇所に貼付します。
収入印紙を貼付する箇所が設けられていない場合には、領収書の金額記載の横などに貼付したり、空いている場所に貼付するようにします。
尚、その際に、領収書の必要項目「日付・宛名・金額・但し書き・発行者の住所氏名等」の項目を隠してしまわないような場所に貼付しましょう。
収入印紙を貼付したあとは、再利用を防ぐために、「消印」をすることが決まりとなっています。
「消印」とは、印紙と領収書にかけて印鑑を押したり(割り印)、または「署名」により行います。
収入印紙への消印の仕方は?
消印はシャチハタでもいいの?
シャチハタでも問題ありません。
誰が消印するの?
これは、文書の作成者に限らず、代理人、使用人その他の従業者でも良いことになっています。
お店などであれば、レジを担当した人(アルバイト等)が行っても問題はありません。
消印を署名で行う場合の書き方は?
署名の仕方は、氏名(ご自身のものでも構いません)を表すものでも通称、商号のようなものでも構いません。
印紙と領収書にかけて署名がかかるように書き入れます。
「消印」はあくまで再利用を防ぐためのものですので、その役割を成していれば問題ありません。
尚、一見して誰が消印したかが明らかとなる程度に署名することが必要であり、また、通常の方法では消印を取り去ることができないことが必要となるため、鉛筆での署名など簡単に消し去ることができるものは、消印をしたことにはなりません。
これにより、誰が消印したのか判別しにくいような、単に「印」と表示したり斜線を引いたりしたものは署名には当たらないため、消印したことにはなりませんので注意が必要です。
まとめ
領収書は、金銭の支払いや金銭の受領の証拠としての役割を果たす大切な証拠文書となります。
領収書に必要な項目などしっかりと把握し、正しい領収書を書くよう心掛けましょう。