「こどもの日」は、男の子の成長と厄除を願う「端午の節句」でもあります。
女の子の節句である「桃の節句(ひな祭り)」では、ちらし寿司やはまぐりのお吸い物、ひしもちやひなあられなどの縁起のよい食べ物を用意しお祝いしますが、「こどもの日(端午の節句)にはどんな食べ物を準備すればいいの?」と悩まれる方も多いものです。
今回は、こどもの日の食べ物の由来や意味とは?柏餅やちまきをたべるの理由についてご紹介します。
こどもの日の食べ物の由来や意味は?
5月5日の「こどもの日(端午の節句)」では、ひな祭りに飾るひな人形の代わりに、兜や鎧、武者人形や童人形などの五月人形、こいのぼりなどが飾られます。
こどもの日に兜や鎧を飾るのはなぜ?
武士が敵と戦う時は、全身に鎧を着用します。
兜や鎧は、戦いの最中に武士の命を守る大切な道具であり、シンボルとしての精神的な意味合いの大きい大切なものでした。
この「命(身体)を守る」という意味が重んじられ、男の子に降りかかる厄災から身を守り、代わりに引き受けてくれるようにという願いから兜や鎧は飾られます。
武将人形や武者人形、桃太郎や金太郎などの五月人形は、これらの人物のように、たくましい人間になって欲しいと願う気持ちが込めて飾るようになりました。
こどもの日にこいのぼりを飾るのはなぜ?
こいのぼりが飾られ始めたのは、江戸時代の商人が始めたこと由来とされています。
とても裕福な商人から始まった習わしで、鯉が滝上りをしている姿を立身出世の象徴としたことからこいのぼりを飾り始めました。
では、なぜ「鯉」なのでしょうか?
これは、激しい流れの滝を登った鯉が、龍になって天に登った「登龍門」という中国の伝説が由来しています。
また、鯉は清流だけでなく沼や池など様々な環境で生きられる生命力の高い魚であることから、「苦しい環境にも負けずに、立派に成長するように」と立身出世の願いを込めてこいのぼりを飾るようになったとされています。
これらの節句の飾りは、一般的ですのでイメージのつきやすいものですが、こどもの日の食事についてはどうでしょうか?
「桃の節句(ひな祭り)」のごちそうに比べると「あれ?なんだっけ?」となる方も多いものです。
こどもの日には何を食べるの?
実は、「こどもの日(端午の節句)」では、女の子の節句である「桃の節句」のちらし寿司やはまぐりのお吸い物のように伝統的な決まったごちそうはありません。
しかし、こどもの日のお祝いをする時に食べる料理としては、子供の成長を祝う日なのでスズキやブリなどが一般的になっています。
これらの魚がお祝いのこの日に食べるのがよいとされているのは、スズキやブリが成長と共に名前が変わっていく出世魚であるため、縁起がよいとされています。
また、縁起の良い食材として鯛やカツオ、タケノコなどの料理も人気です。
ですが、お祝いのお菓子として、こどもの日には柏餅や粽(ちまき)などが欠かすことができません。
こどもの日に柏餅やちまきを食べるのはなぜ?
こどもの日の食べ物として代表的なものとして柏餅やちまきがあるんですが、これを食すのには深い意味があるんですよ。
こどもの日に柏餅を食べるのはなぜ?
こどもの日になぜ柏餅を食べるようになったかと言うと、柏餅を巻いている柏の葉が縁起物だからです。
柏(かしわ)の葉は冬の寒さにも耐えて、新しい新芽をつけるまで古い葉は落ちないため、「子が生まれるまで親が死なない」とされ、転じて子孫が続く縁起の良いものとされます。
このように新芽を子どもに見立てるので、跡継ぎが絶えず生まれてくると考える事ができるのです。
武家の時代には、お家が途絶えてしまうと取り潰しになってしまい、それ以上子孫を繁栄させる事ができなくなるため子孫が生まれないことは死活問題でした。
昔の時代は医療も発展していないので、如何にして子孫繁栄をするかを考える事が多く、神頼みや縁起を担ぐのもその一つの方法です。
家族をこれからも増やし続けることで、家柄を守る事が出来るようになり、家系を存続させる事ができるのは、昔の家柄を大切にする武家にとっては無くてはならないものだったのですね。
また、「柏手(はくしゅ)を打つ」という言葉がありますが、この神頼みをする際の柏手も柏の木から来ているといわれ、神聖な神様に祈願をする意味でも柏餅が食べられていたという説もあります。
柏の木は今と違い、昔は神聖な木と考えられており、食器が無かった時代に食器のかわりとして利用されていたこともあり、「食事に困らないように」という願いも込められているという説もあるそうです。
これらのことから柏の葉には、子孫繁栄を願いや神聖な意味合いのあるものとして、端午の節句の最適な食べ物として考えられているのです。
こどもの日にちまきを食べるのはなぜ?
ちまきは、中国の戦国時代の英雄にちなんだもので、国の将来を憂いて王を諫(いさ)めたために国を追われ、絶望し入水した英雄を哀れんだ人々が、命日である5月5日に笹の葉に米を巻いて川に投げ込む様になったのがちまきの始まりといわれています。
この故事から、中国では5月5日にはちまきを作って親せきや知人に配る習わしがうまれ、端午の節句とともに日本に伝えられたことで、こどもの日にはちまきを食べるという風習が根付いたとされています。
また、ちまきは「難を避ける」「邪気を払う」など厄払い力があるといわれ、中国では古くから食べられてきました。
このことからも、子供の健やかな成長と厄除を願う端午の節句には、ぴったりの食べ物として現在でも食べられています。
また、柏餅やちまきのどちらを食べるのかというのは、地域によって異なるようです。
一般的には、柏餅を食す習慣があるのが関東地方になり、関西地方では、ちまきが多く食べられているようです。
しかし、どちらが正しいというわけではありませんので、両方食べたり、どちらか一方でもOKです。
子孫繁栄と厄除けの効果で、子どもの成長を期待する事ができる為、こどもの日の食べ物として食べさせるようにするのがいいかもしれません。
柏餅もちまきも厄除けとして食べさせる事が多く、なぜ食べるか疑問に思う子どももいるかもしれませんが、その時は厄災と厄除けの話をきちんとする事できっと理解をしてくれるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、こどもの日の食べ物の由来や意味 柏餅やちまきを食べる理由についてご紹介しました。
昔は厄災が本当にあると信じられており、その仕業は悪い神様や幽霊などによる物として考えられており、子どもを守るためにも柏餅やちまきをこどもの日に食べさせていました。
食べることで厄除けをする事ができるので、たとえ厄災がかかったとしても負けることのない、元気な子どもに育つ事を祈って食べることをきちんと教えてあげることも子供の成長には欠かせないものかもしれませんね。