取引先やお客様からお中元をいただいた際、きちんとしたマナーでお礼の気持ちを伝えることは、今後の良好な関係構築において非常に重要です。
お中元は原則として「お返し(返礼品)」は不要とされていますが、いただいた後に何のリアクションもしないのは大きなマナー違反にあたります。
今回は、ビジネスシーンですぐに使えるお中元のお礼状マナーに加え、封書・ハガキ・メールの使い分け、社長の代筆ルール、お返しや辞退の書き方まで、実務で迷うポイントを網羅して解説します。
お中元のお礼状ビジネス基本ルール|いつまでに送る?

ビジネスでお礼状を作成する際に、絶対に外せない基本ルールが2つあります。
① 理想は当日!遅くとも2〜3日以内の投函が鉄則
お礼状は何よりもスピードが命です。
お中元が届いたら、できればその日のうちに投函するのが理想です。
業務の都合でどうしても遅れてしまう場合でも、品物を受け取ってから2~3日以内には必ず発送するように心掛けましょう。
② お礼状のタブー「他の用件」は絶対に混ぜない
お礼状の文面の中に、他のビジネスの連絡や打合せの件などを一緒に書くのはマナー違反です。
相手に「何かのついでにお礼を言われた」という印象を与えないよう、感謝の気持ちだけをシンプルに伝える書面に仕上げます。
【実務知識】社長の代わりに書く「代筆」の記号ルール
秘書や事務員、あるいは社長の配偶者がお礼状を代筆する場合、差出人欄(署名)の書き方にルールがあります。
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部下・社員(秘書)が代筆する場合 : |
| 社長の名前の左下に、やや小さめの文字で「代」または「秘書」と書き添えます。 |
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配偶者(妻)が代筆する場合 : |
| 社長の名前の左下に、やや小さめの文字で「内」と書き添えます。 |
お中元お礼状のビジネス例文集
相手との関係性や送る手段(封書・ハガキ・メール)に合わせて、以下の例文をカスタマイズしてご活用ください。
① 【封書(手紙)】最もフォーマルな縦書き文例
もっとも丁寧で、どの取引先に出しても失礼のない王道の文面です。
特にお世話になっている取引先の代表者様や目上の方へは、ハガキではなく封書を選ぶのが正式なマナーです。
拝啓
盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
日頃は格別のお引き立てを賜り、深く御礼申し上げます。
このたびは、ご丁寧にも結構なお中元の品を頂戴いたし、ご芳情誠にありがたく改めて御礼申し上げます。
早速、従業員一同にて賞味させていただきましたところ、皆大変美味しいと喜んでおりました。
いつもながらの温かいお心遣いに、心より感謝申し上げます。
今後とも何卒よろしくご厚誼のほどお願い申し上げます。
貴社のさらなるご発展を祈願し、略儀ながら書中をもちましてお礼のご挨拶とさせていただきます。
敬具
令和〇年○月○日
○○株式会社
代表取締役 ○○○○
② 【ハガキ】余白を意識したスマートな和語調文例
ハガキは1行あたり15〜20文字を目安に、余白を持たせて読みやすく書くのがコツです。
目上の方や取引先へは、手書き・印刷に関わらず「縦書き」で作成するのが基本となります。
近年にない暑さが続きますが、貴社におかれましてはお元気に過ごされていることと存じます。
この度はご丁寧なお中元の品を頂き、誠に有難うございました。
いつもながらのご芳情に厚く御礼申し上げます。
暑さはこれからが本番でございます。皆様どうぞ無理をなさらずご自愛ください。
略儀ではございますが、書面をもちまして御礼申し上げます。
敬具
令和〇年○月
○○株式会社
代表取締役 ○○○○
③ 【ビジネスメール】スピード重視の状況別3パターン
メールの件名は「どこの誰から、何に対するメールか」を一目でわかるように書くのが礼儀です。
他の用件は混ぜず、お礼のみに徹するのがビジネスマナーとなります。
パターンA:一般的なお礼メール(定番)
お取引先企業名
部署名・役職 〇〇 〇〇 様
拝啓
猛暑の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社○○○○の(自分の氏名)です。
さて、このたびは、ご丁寧にも大変結構なお中元の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
ご芳情のほど誠にありがたく、厚く御礼申し上げます。
いつもながらの温かいお心遣いに、一同大変喜んでおります。
本来であれば拝眉の上、御礼申し上げるべきところでございますが、まずは取り急ぎメールにて御礼申し上げます。
(※後日手紙を送る場合は:まずは取り急ぎメールにて御受領の報告と御礼を申し上げます。追って書面にて改めてご挨拶申し上げます。)
貴社のますますのご発展をお祈り申し上げますとともに、今後いっそうのご交誼のほどをお願いいたします。
敬具
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【署名(会社名、住所、氏名、連絡先など)】
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パターンB:先方が品物を直接持参(来社)してくださった場合
お取引先企業名
部署名・役職 〇〇 〇〇 様
拝啓
時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
株式会社○○○○の(自分の氏名)です。
さて、本日はお忙しい中、弊社までご足労いただき誠にありがとうございました。
その際、ご丁寧にも大変結構なお中元の品を頂戴いたし、重ねて厚く御礼申し上げます。
さっそく社内一同でおいしくいただきました。
いつもながらの細やかなお気遣いに、社員一同心より感謝いたしております。
メールにて恐縮ではございますが、まずは取り急ぎご来社とお品へのお礼申し上げます。
暑さ厳しき折、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。
敬具
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【署名】
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パターンC:お中元が宅配便などで郵送されてきた場合(到着報告)
お取引先企業名
部署名・役職 〇〇 〇〇 様
いつも大変お世話になっております。
株式会社○○○○の(自分の氏名)です。
さて、つい先ほど、貴社からのお中元の品が宅配便にて無事に届きました。
お心の込もった素晴らしい贈り物、誠にありがとうございました。
さっそく皆で美味しく頂戴いたしましたが、日頃はなかなか口にできないお品(※届いた品物に合わせて変更)に、社員一同大喜びで手を伸ばしております。
〇〇様にはいつも何かとお世話になり、その上このようなお心遣いまでいただき、恐縮いたしております。
これから益々暑くなってまいりますので、どうぞくれぐれもご自愛ください。
まずは、とり急ぎメールにて、無事到着のご報告とお礼のご挨拶とさせていただきます。
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【署名】
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【応用実務】お中元への「お返し」と「辞退(お断り)」の対処法
ビジネスシーンでは、お礼状だけでなく「お返し」や「コンプライアンスによる辞退」への対応も求められます。
お返し(返礼品)を贈る場合の相場と時期のずらし方
お中元へのお返しを贈る場合は、相手に気を遣わせないよう「いただいた品物の半額〜同額程度」の品を選びます。
また、お中元の時期(7月15日前後まで)を過ぎてしまう場合は、表書きを「暑中御見舞」(8月7日頃の立秋まで)や「残暑御見舞」(8月下旬まで)に変えて贈るのがマナーです。
② コンプライアンス規定で受け取れない場合の「お断り状」文例
社内規定や公務員規定などで贈答品を受け取れない場合は、感謝を伝えつつも、角を立てずに辞退する「お断り状」を封書で送ります。
拝啓
暑さ厳しき折、貴社におかれましては益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご厚情を賜り、深く御礼申し上げます。
さて、本日はご丁寧にも大変結構なお中元の品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
温かいお心遣いには一同大変恐縮しております。
しかしながら、誠に勝手ではございますが、弊社ではコンプライアンス規定により、取引先様からのご贈答品は一律に辞退させていただくこととなっております。
せっかくのご芳情を無にすることとなり、誠に心苦しい限りではございますが、今後はこのようなお気遣いをなさいませんよう、伏してお願い申し上げます。
敬具
令和〇年○月○日
○○株式会社
代表取締役 ○○○○
【月別・時期別】お礼状に必須の時候の挨拶(6月・7月・8月)
お中元は地域によって届く時期が大きくズレるため、届いたタイミングにピッタリ合った「時候の挨拶」を選ぶ必要があります。
| 時期 | 7月の時候の挨拶(季語・文例) | 8月の時候の挨拶(季語・文例) |
|---|---|---|
| 上旬 | ・向暑の候 ・梅雨明けの候 ・ようやく梅雨も明け ※6月下旬は「初夏の候」など |
・残暑の候 ・季夏の候 ・いまだ暑さ厳しい折 |
| 中旬 | ・盛夏の候 ・仲夏の候 ・暑さ厳しい折から |
・新涼の候 ・避暑の候 ・納涼の候 |
| 下旬 | ・酷暑の候 ・猛暑の候 ・炎暑の候 ・日ごと暑さが厳しくなってまいりましたが |
・晩夏の候 ・暮夏の候 ・秋暑の候 ・暦の上ではもう秋ですが ※遅れた場合は「向秋の候」など |
どの言葉を選べばいいか分からない、あるいは時期が微妙なときは、1年中いつでも使える「時下(ただ今、この頃という意味)」が便利です。
例:時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
まとめ|印刷でも「手書きの一言」を添えるのが好印象のコツ
ビジネスの場面では、お礼状をパソコンで印刷したり、業者に依頼して大量に発送したりすることも多いですが、空いているスペースに「手書きのメッセージ」を添えるだけで、先方に伝わる感謝の気持ちがグッと深まります。
・「冷えたビール、仕事終わりに皆で美味しくいただきました!」
・「いつも温かいお心遣いをいただき、本当にありがとうございます。」
・「お近くにお越しの際は、ぜひ弊社オフィスへお立ち寄りください。」
・「猛暑が続きますので、〇〇様もどうぞご自愛くださいませ。」
メールの便利さと書面の丁寧さをスマートに使い分け、他社の一歩先を行くビジネスの好印象へと繋げていきましょう。