通夜とは、もともとは故人の親族や親しかった人たちが葬儀の前夜、一晩中故人に付き添い、邪霊の侵入を防ぎ、故人との最後の別れを惜しむ儀式でした。
現在では、一般の弔問客を迎え、約1時間程度で終わる半通夜が増えています。意味合いも告別式に出席できない人のための別れの式的な要素が強くなっています。
今回は通夜に関する、時間や服装、香典の渡し方のマナーをご紹介します。
通夜の時間に関するマナー
昔は、遺族や近親者、親しい友人らで夜通し故人を偲んでいた通夜。
現在では、告別式の前日の18時~19時頃から始まり、通夜ぶるまいが終わるのは21時~22時頃という時間帯が一般的で、夜のうちにお開きになる「半通夜」が主流になっています。
通夜の流れ(仏式の場合)
一般的な通夜の流れを仏式の場合を例にご紹介します。
- 受付
- 一同着席
- 僧侶入場・読経
- 焼香
- 僧侶退場
- 喪主あいさつ
- 通夜ぶるまい
通夜には定刻の10分前には到着
身内の通夜の場合には、できる限り準備を手伝い、通夜の開始前には遺族席について弔問を受けます。
それ以外での通夜に参列する場合は、弔問に伺う時間は早すぎても遅すぎても迷惑になりますので、定刻の10分前に到着するぐらいがよいでしょう。
通夜の席次について
通夜の席次はあまりこだわらなくても大丈夫です。
祭壇近くには僧侶で、向かって右側が遺族・親族、左側が弔問者の席で、一般会葬者は正面を向いた席に座るのが普通となります。
祭壇に近いほうが上座ですが、混んできたら入口近くに人が溢れる場合もあります。スムーズな式の運びの妨げにもなりますので、席次にこだわらず先着順にて静かに着席しましょう。
通夜ぶるまい時のマナー
通夜の終了後に別室で親族や故人にゆかりのある人たちが故人を偲んで軽い飲食をするのが「通夜ぶるまい」と言われるものです。
通夜ぶるまいの席には、故人への供養の意味がありますから、引き止められたら出席し、ひと口でも箸をつけるのがマナーです。お酒も出されますが、酔うのは厳禁です。
あくまで故人を偲ぶ席ですので、節度を守ることを心掛け、遺族には明日の葬儀の準備もあるので、あまり長居をするのもよくありません。
退席する際には、遺族に励ましの言葉を掛け、もう一度故人の霊前に拝礼し焼香をさせてもらい退席しましょう。
通夜の服装に関するマナー
通夜から葬儀・告別式での服装は、喪服が基本となります。
※シングル・ダブルどちらでも可。
※タイピン、ポケットチーフは不可。
※ベルトも黒を着用。
※時計やハンカチなども派手なものは不可。
※ゴールドの金具は原則不可。
●洋装:黒のフォーマルスーツかワンピースで長袖が原則。
※スカート丈はひざ下丈。
※ボタンやベルトのバックル等も黒布でくるんであるものが正式。
※ヘアメイクは、控えめが原則。
※香りのきつい香水や派手なネイル、派手な髪飾りなどは不可。
※バッグは、黒のフォーマルバッグ。革やファー素材は「殺生」を意味するので不可。
※アクセサリーは結婚指輪、パールの一連までなら可。二連や三連は「不幸が重なる」という意味合いになるので原則不可。
神式やキリスト教式の葬儀での服装は?
喪服のマナーは宗旨を問わず共通ですので、上記の服装で大丈夫です。
夏でも喪服は長袖?
肌を露出は、お悔やみの席にふさわしくないとされています。現在では夏の喪服も種類が豊富ですので、出来れば大人のマナーとして、夏用礼服も用意しておきたいものです。
女性はパンツスーツでも大丈夫?
オーソドックスな黒のパンツスーツなら、略式喪服として通用します。
通夜での香典の渡し方は?
受付で渡す場合
受付では最初に、「心からお悔やみ申し上げます」とお悔やみの言葉を述べてから、会葬者名簿に記帳し、香典は表書きの向きを先方に向け、両手で渡します。
香典はふくさに包んで持参するのが正式です。
ふくさがない場合は、地味な色の小風呂敷か白いハンカチに包んでおきましょう。
祭壇に置く場合
遺影に一礼し、合掌して冥福を祈ります。
袱紗から香典袋を出して、表書きの向きを自分に向けて置きます。
焼香の作法について
回し焼香
- 抹香が回ってきたら、軽く一礼して受け取ります。
- 抹香を自分の前に置き、焼香をします。抹香をつまんで目の高さで1~2回ささげ香炉へ戻します。
- 焼香後は、次の人に軽く一礼しながら渡します。
抹香焼香(立礼焼香)
- 遺族、僧侶に一礼して祭壇の前へ進みます。
- 遺影に向かい一礼、合掌します。
- 右手で抹香をつまみ、自分の目の高さにささげて香炉へ戻します。
- 遺影に向かって合掌し、遺族や僧侶に一礼して席に戻ります。
まとめ
弔事の知らせは突然やってくるものも多いもの。
参列の際には、遺族の気持ちに寄り添うよう控えめな態度を心がけ、失礼のないよう基本的なマナーなどは身につけておくと安心かもしれません。