お通夜は、告別式の前夜に親族や親しかった知人が一晩中故人に付き添い、最後の別れを惜しむ儀式です。
現在では、一般の弔問客を迎え、告別式に参列できない方へのお別れの場的な風潮が強まり、1時間半程度で終わる「半通夜」が多くなっています。
お通夜に参列する際、故人や親族に失礼のないように別れを惜しみたいものです。
今回は、お通夜での香典の渡し方、服装や時間についてのマナーをご紹介します。
通夜での香典の渡し方は?
先方にとっては、突然の不幸事で悲しみに暮れている親族や知人に粗相のないようにしたいものですね。
お通夜に参列する際、まずは受付で「芳名帳」に名前を記載し、香典を渡しますが、香典には、受付で渡す場合と祭壇に置く場合があります。
最近では、受付で渡す場合がほとんどとなっていますが、祭壇に置く場合もありますので、下記に香典の渡し方について詳しくご紹介します。
受付で渡す場合
最初に受付でお悔みの言葉伝えます。
「この度は誠にご愁傷さまでした。心よりお悔やみ申し上げます。」
「心から哀悼の意を表します。」「心からご冥福をお祈りいたします。」
など。また、軽い黙礼でも良いです。
そして、「芳名帳」に名前と住所を記帳し、香典を渡します。
香典を渡す際の注意点
香典袋をカバンやポケットなどから直接出すのはNGですので注意しましょう。
袱紗がない場合は、地味な色の小風呂敷か白いハンカチに包んで持参してもOKです。
渡す際は、袱紗から香典袋を取り出し、表書きを先方に向けて、両手を添えて渡します。
なお、祭壇に置く場合も併せてご紹介します。
祭壇に置く場合
故人の遺影に一礼し、手を合わせて冥福を祈ります。
袱紗から香典袋を出して、表書きの向きを自分に向けて置きます。
受付で渡す場合と、祭壇に置く場合では、香典袋の表書きの向きが変わりますので注意か必要です。
通夜での焼香の作法は?
通夜が始まりましたら、読経が始まり喪主を筆頭に焼香をあげていきます。
通常は、喪主→遺族→親族→弔問客→留焼香の順番で焼香をあげます。
弔問客の場合には、決まった順番はなく前の人に続いて焼香しましょう。
それでは、焼香のマナーについて下記にご紹介していきます。
立礼の時の焼香の作法は?(抹香焼香)
- 遺族に一礼して祭壇の2~3歩手前へ進みます。
- 遺影に向かい深く一礼し、焼香台の前に進みます。
- 右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香をつまみ、軽く頭を下げ自分の目の高さにささげて香炉へ静かに落とします。
ポイント
香をささげる回数は宗派によって異なりますので、遺族が行っている回数を確認しましょう。 - 遺影に向かって合掌し、遺族や僧侶に一礼して席に戻ります。
回し焼香
- 抹香が回ってきたら、軽く一礼して受け取ります。
- 抹香を自分の前に置き、お焼香をします。抹香をつまんで目の高さで1~2回ささげ香炉へ静かに落とします。
- 数珠を両手にかけて合掌します。
- 焼香後は、次の人に軽く一礼しながら渡します。
通夜に参列するときの服装のマナーは?
最近では、通夜のみの参列でも時間的に余裕がある場合などは喪服で伺うことが増えてきています。
しかし、訃報が入り、急いでお通夜に行くことになった場合は、「地味な平服」での参列でも問題ありません。
下記に、通夜に参列するときの服装についてご紹介していますので参考にされてください。
- ブラックスーツ
- 白のシャツ
- 黒無地のネクタイ
- 黒の靴下
- 黒の革靴
※シングル・ダブルどちらでもOKです。
※タイピン、ポケットチーフなどの装飾品はNGです。
※ベルトも黒を着用しましょう。
※時計やハンカチなども派手なものは避けましょう。
※ゴールドの金具は原則不可。
- 黒無地の羽二重またちり緬
●洋装:
- 黒のフォーマルスーツかワンピース(肌を露出しない長袖が基本)
- 黒の靴
- 黒またはベージュ(肌色)のストッキング
- 黒のフォーマルバッグ
※スカート丈はひざ下丈にしましょう。
※ボタンやベルトのバックル等も黒布でくるんであるものが正式です。
※ヘアメイクは、控えめします。
※香りのきつい香水や派手なネイル、派手な髪飾りなどはNGです。
※バッグは、革やファー素材は「殺生」を意味するので避けます。
※アクセサリーは結婚指輪、パールの一連までならOK。二連や三連は「不幸が重なる」という意味合いになるので避けましょう。
神式やキリスト教式の葬儀での服装は?
喪服のマナーは宗旨を問わず共通ですので、上記の服装で大丈夫です。
夏でも喪服は長袖?
夏の暑い時期でも通夜や告別式などのお悔みの席で肌を露出することは、ふさわしくないとされています。
現在では夏の喪服も種類が豊富ですので、出来れば大人のマナーとして、夏用礼服も準備しておきたいものです。
メモ
女性はパンツスーツでも大丈夫?
オーソドックスな黒のパンツスーツなら、略式喪服として利用することが出来ます。
その際は、黒いブラウスやスカーフなどを利用すると良いでしょう。
注意ポイント
通夜の時間に関するマナーは?
告別式は昼に行われることが多いですが、お通夜(半通夜)は、18時~19時頃から始まり、40分~1時間半程度で終わり、通夜ぶるまい(通夜料理)は20時頃から始まり、21時~22時頃に終わるという時間帯が一般的です。
喪主や喪家の方から通夜ぶるまいに声を掛けられた場合は、出来る限り参加するようにしましょう。
また、通夜ぶるまいに参加する際、通夜料理に口をつけることが供養とされるため、一口でも口をつけるのがマナーです。
また、通夜ぶるまいの際あまり長居せずに切りの良い所で退席するようにしましょう。
通夜の流れ(仏式の場合)
一般的なお通夜の流れを仏式の場合を例にご紹介します。
- 受付
- 一同着席
- 僧侶入場・読経
- 焼香
- 僧侶退場
- 喪主あいさつ
- 通夜ぶるまい
定刻の10分前までには到着
身内の通夜の場合には、できる限り早めに伺い準備の手伝い、通夜の開始前には遺族席について弔問を受けるようにします。
一般の弔問での通夜に参列する場合は、弔問に伺う時間は早すぎても遅すぎても迷惑になりますので、定刻の10分前までには受付を済ませるように到着するがよいでしょう。
通夜の席次について
通夜の席次については、遺族席、親族席以外の一般弔問客は特に気にすることはありません。
祭壇近くには僧侶で、向かって右側が遺族・親族、左側が弔問者の席で、一般会葬者は正面を向いた席に座るのが通例となります。
祭壇に近いほうが上座になるのですが、式直前は入口付近が混み合ってきます。
スムーズに式が進むように、席順にこだわらず前の方から順番に着席するようにしましょう。
通夜ぶるまい時のマナー
お通夜の終了後に別室で親族や故人にゆかりのある人たちが故人を偲んで軽い飲食をすることを「通夜ぶるまい」といいます。
通夜ぶるまいの席には、故人への供養の意味がありますから、引き止められたら出席し、ひと口でも箸をつけるのがマナーです。
お酒も出されますが、飲み過ぎて酔っぱらってしまうのはNGですので気をつけましょう。
「通夜ぶるまい」は、あくまで故人を偲ぶために設けられた席ですので、節度を守ることを心掛けましょう。
また、遺族には明日の葬儀の準備もあるので、あまり長居をするのもよくありません。
退席する際には、遺族に励ましの言葉を掛けた後、再度、故人の霊前に拝礼し焼香をさせてもらい退席するのが良いでしょう。
まとめ
今回は、お通夜での香典の渡し方、服装や時間についてのマナーをご紹介しました。
急な訃報で遺族や親族の心は悲しみに暮れていますが、お通夜や告別式の準備や段取りなど忙しいものです。
遺族や親族の負担を少しでも和らげるためにも、お通夜での基本的なマナーを身に付けておきましょう。