高熱や強い全身症状が引き起こされるインフルエンザ。
インフルエンザは病院に行かないと治らないものなのでしょうか?
今回は、インフルエンザで自然治癒する期間や方法についてご紹介します。
インフルエンザで自然治癒する期間は?
インフルエンザは「インフルエンザウイルス」に感染することによって発症する病気です。
風邪と似てはいますが、風邪よりもウイルスのパワーが強く急激な発症や高熱を出しやすいのが特徴的です。
インフルエンザの感染から治癒までの経過の流れは?
一般的にインフルエンザウイルスに感染した場合、約1~3日の潜伏期間の後、インフルエンザを発症します。
発症後は、約1~3日程度の期間で、突然の高熱(38℃以上)や、全身倦怠感、食欲不振などの「全身症状」が強く現れます。
その後、咳や喉の痛み、鼻水などの「呼吸器症状」が現れ、なかには腰痛や吐き気、下痢などの「消化器症状」が現れることもあります。
最終的に、10日前後で症状が落ち着き治癒するのが一般的なインフルエンザの症状の経過の流れです。
インフルエンザへの感染が確認された場合、体内にいるインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ「抗インフルエンザウイルス薬」の服用が有効です。
そして、体内に入ったインフルエンザウイルスは、猛烈な勢いで増え続け、症状が出てから2~3日後(48~72時間後)に最も数が増え活発に活動します。
この「抗インフルエンザウイルス薬」は、インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬で、症状が出てから(発熱など)48時間以内に抗インフルエンザ薬を使って増殖を抑えることができれば、病気の期間を短くし、症状の悪化を防ぐことができる可能性が高まります。
そのため、ウイルスの量が最大になる前、つまり症状が出てから48時間以内に抗インフルエンザ薬を使って増殖を抑えることで、病気の期間を短くし、症状の悪化を防ぐことができる可能性があるのです。
特に、高齢者や乳幼児・小児や基礎疾患のある人などは、免疫が低いため、長引きやすいだけでなく、肺炎など合併症を引き起こしやすくなります。
また、子供の場合は意識障害や異常行動などの症状が出る「インフルエンザ脳症」など重症化するケースもあるためインフルエンザが流行する時期などは「もしかして!?」と思ったら病院に行って迅速に対応することが大切だとされています。
インフルエンザは自然治癒できるの?
インフルエンザに有効な「抗インフルエンザウイルス薬」は、インフルエンザウイルスの増殖を防ぐものであり、インフルエンザウイルスを死滅させたり、治すことはできません。
インフルエンザウイルスを撃退する唯一の方法は、人間の身体にもとから備わっている「免疫力」しかありません。
そのため、この免疫力を維持しながら、しっかりとケアすることで自然治癒することは十分可能です。
ですが、インフルエンザウイルスはパワーが強いため、感染・発症した場合、体内では非常に大きなエネルギーが消耗されます。
体力に自信のある方でも、発症後は大きなダメージを受けやすいのも事実ですので、大人で健康な方でも体力に自信のない方は、病院を受診し適切な処置を受けることをおすすめします。
インフルエンザは自然治癒でどれぐらいで治るの?
インフルエンザを発症し、病院で「抗インフルエンザウイルス薬」をもらい服用することで一般的に1~2日程度治癒期間が短縮されると言われています。
自然治癒の場合は、個人差があるため一概には言えませんが、発熱期間やその後の経過も長引きやすいのが特徴です。
インフルエンザの特徴でもある、「高熱」を出す期間(約1~3日程度)を過ぎた後も、微熱状態が続いたり、体内でのインフルエンザウイルスの活動がなかなか終息できないために、体内での免疫機能も活発な状態が続きやすくなります。
通常であれば約10日前後で終息しますが、人によっては10日以上かかるケースも見られます。
インフルエンザでの出席・出勤停止期間は?
2012年4月の学校保健安全法施行規則の一部改正に伴い、インフルエンザにかかった際の子供の出席停止期間の基準が下記のように変更されました。
★改正後:「発症後5日間は出席停止」+「解熱後2日間は出席停止(※幼児にあっては3日)」
上記は、子供の出席停止期間の基準ですが、大人も上記の基準に準じた期間にて行動するのが必要でしょう。
インフルエンザウイルスの感染力が最も強いのは「症状が出てから2~3日後(48~72時間後)」なのですが、解熱後や発症後もしばらくの期間は、まだ感染力の強いウイルスを体内に保持しているため、十分な警戒と感染拡大を防止する必要があります。
特に、解熱後は体が一気に楽になるため動き回ったりすることで、感染を拡大しやすい傾向にあります。
また、インフルエンザの症状の特徴として、発熱後に「呼吸器症状」が出やすい傾向があり、それらによる飛沫感染や接触感染等により、感染が一気に拡大しやすくなっていきます。
インフルエンザ発症後5日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています。あくまで一般的なものですし、個人差もありますので発症後7日間程度は十分な注意が必要かも知れません。
解熱後に咳やくしゃみ等の呼吸器症状が続いている場合には、マスクやうがい手洗いを徹底し、周囲への感染拡大を防止するよう心掛けましょう。
インフルエンザで自然治癒する方法は?
インフルエンザウイルスを撃退する唯一の方法でもある「免疫力」を維持しながら、ゆっくりと安静にするのが最良の方法です。
「免疫」とは、病原菌やウイルスなどの外敵の侵入を防いだりする自己防衛機能や体の健康を維持する力のことです。
人間の身体は約60兆個もの細胞からできています。
人間の身体の仕組みとして、身体を形成するそのすべての細胞一つ一つが、「これは自分の細胞である」ということが認識できるようなシステムが備わっており、そこに自分の細胞ではないウイルスなどの「異物」が入ってくると、これを排除しようとする機能が働きます。この機能が「免疫=疫(病気)から免れる機能」なのです。
ですので、この「免疫力」を高めることでウイルスを撃退しやすくなるのです。
免疫力を高めるには「温める」
身体の体温が下がると免疫力が低下します。逆に体温が上がると免疫力もアップします。およそ体温が1℃上がると免疫力は5~6倍アップすると言われています。
「体を温める」には、体の内側と外側の両方から行うのが効果的です。
内側からは、温かいものを食べたり飲んだりして体を温めます。また、しっかりと温かい服装をしたり、カイロを背中に貼ったり、布団をきちんとかぶったりして外側からも温めます。
注意ポイント
免疫力を高めるには「睡眠」
免疫力の元でもある「免疫物質」は、睡眠中に作られます。病院でも「温かくして安静にしてくださいね。」とよく言われませんか?
とにかく無理をしないでゆっくりと体を休めること「安静=睡眠」が一番です。特に、インフルエンザの場合、体内ではウイルスと闘うために非常に大きなエネルギーが消耗されるため、自分が想像する以上に体へのダメージは強いですし、体は疲れています。
睡眠をとることで、人間の身体は「副腎皮質ホルモン」という物質が分泌されます。この副腎皮質ホルモンは、体の弱った部分を治し、免疫力を活性化させると言われているものです。
この免疫機能を活性化させるため、ゆっくりと睡眠をとり、多くの「副腎皮質ホルモン」を分泌させることで完治につながるのです。
この時に、しっかりと体を温めて眠ることも大切です。
免疫力を高めるには「栄養補給」
ウイルスを撃退する時には、体は多くのエネルギーを消耗します。ウイルスと闘う力を落とさないようにするためにも、栄養価の高い栄養補給が不可欠です。
インフルエンザの場合は、食欲減退などもありますが、完治するためには必要なものですので、食べられないような時でも、お粥や果物や卵酒、甘酒など口にしやすいもので構いませんので摂取するよう心掛けてください。
風邪薬や解熱剤は飲んでもいいの?
風邪薬は、発熱や鼻水、鼻づまり、咳などの症状を和らげることはできますが、インフルエンザウイルスや細菌へ直接働きかける作用はありません。
また、普通の風邪による発熱と同じように、熱を下げたい一心でいつものように解熱剤を飲みたくなりますが、インフルエンザの場合には、それはとても危険な行為となります。
インフルエンザの場合、解熱剤の種類によっては、けいれんや意識障害などを発症する「インフルエンザ脳症」や「インフルエンザ脳炎」、脳や肝機能に障害を来たす「ライ症候群」など重病を招くことがあり、後遺症が残ったり、最悪の場合は死に至ってしまったケースもあります。
特に、子供のインフルエンザの場合、「アスピリン」などを含むサリチル酸系の薬や「ボルタレン」、「ボンタール」など、強い解熱作用がある薬の使用は禁じられていますし、もちろん大人にとっても影響があるため、病院等でこれらの薬を処方されることはありません。
インフルエンザの場合は、このようなことからも自己判断で市販薬の服用も難しい側面があるため、発熱などでしんどく、症状を緩和させたい場合などは、医療機関を受診して適切な薬を処方してもらうことが安全でもあります。
まとめ
インフルエンザは基本的には自然治癒でも治りますが、体力的にも相当しんどいものです。
注意ポイント