年末調整は、会社があなたの代わりに1年分の所得税を計算し直して、払いすぎた分を返してくれる手続きです。
書類を出しておくだけで、戻ってくるお金が増えるケースが多くありますので、面倒くさいですが提出してくださいね。
年の終わりが近づくと、会社から「年末調整の書類を出してください」と急に渡されて、手が止まってしまう方は少なくありません。
私も昔、アルバイトを掛け持ちしていた頃、「書類を1枚出せば、あとは全部自動で調整してくれる」と思い込んでいました。
結局、掛け持ち先の分が手つかずのままになっていて、後から慌てて税務署に駆け込んだ経験があります。
専門用語だらけの紙を前にすると、頭が真っ白になりますよね。
ただ、仕組みはポイントを押さえれば単純です。
この記事では、2026年(令和8年)の制度に合わせて、年末調整の基本、パート・アルバイト・掛け持ちの場合の扱い、確定申告との違いを順番に整理します。
読み終わる頃には、自分が何をすればいいのか判断できるはずです。
※本記事は2026年11月時点の一般的な税制に基づいて作成しています。
個別の税務判断については、国税庁の公式情報や最寄りの税務署、税理士などの専門家にご確認ください。

年末調整とは?2026年の基本をわかりやすく解説
年末調整とは、1月1日から12月31日までの1年間に会社から支払われた給料と、そこから天引きされた所得税の合計を、12月の最後の給与支給時に計算し直して精算する仕組みです。
最初に、毎月の給料から引かれている税金の正体を確認しておきます。
毎月の給料から引かれている税金は「仮の金額」
給料明細を見ると、「所得税」の欄でお金が引かれています。
会社が本人に代わって税金を計算し、国へ納めてくれているもので、「源泉徴収(げんせんちょうしゅう)」といいます。
ただ、毎月引かれている所得税は、あくまで「このくらいだろう」という概算(仮の金額)です。
最初からぴったりの金額を引けないのは、1年の途中で家族が増えたり、生命保険料を払ったりしても、毎月の給料計算にはそうした個人の事情が反映されないからです。
1年分の給与収入と、受けられる控除(税金を安くする仕組み)の金額がそろうのは、年末になってから。
そこで初めて、本当の所得税額が決まります。
計算し直した結果どうなる?(還付と追加徴収)
本当の所得税額を計算し直すと、結果は次のどちらかになります。
-
払いすぎていた場合(還付)
毎月払いすぎていた場合は、差額が戻ってきます(還付金)。12月や1月の給料と一緒に振り込まれるのが一般的です。 -
足りなかった場合(追加徴収)
払った税金が足りなかった場合は、不足分が12月などの給料から差し引かれます(追加徴収)。
会社員やパートの方の多くは、生命保険料控除や配偶者控除などを申請するため、税金が戻ってくるケースがほとんどです。
年末調整の対象になる人・ならない人
「会社で働いている人は全員が年末調整を受ける」と思われがちですが、実際は働き方や年収によって、対象になる人とならない人に分かれます。
年末調整の対象になる人の条件
その年の最後の給料をもらう時点で会社に勤めていて、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をその会社に出している人が対象です。
具体的には、次のような方が当てはまります。
- 1年間を通して同じ会社で働き続けた人
- 年の途中で就職して、そのまま年末まで働き続けている人
対象者の詳しい条件は、国税庁:No.2662 年末調整のしかたでも解説されています。
年末調整の対象にならない人のケース
次のような方は、会社の年末調整を受けられません。
-
給与収入が2,000万円超
1年間の給与収入が2,000万円を超える人 -
サブの職場での給与
2か所以上の会社から給料をもらっていて、別の会社に「扶養控除等申告書」を出している人(サブの職場) -
年途中の退職(未就職)
年の途中で退職して、再就職していない人(一部例外あり) -
災害等の猶予・還付
災害などで源泉徴収の猶予や還付を受けた人 -
必要書類の未提出
提出期限までに必要な書類を出さなかった人
※図解の「2,000万円超」から矢印が2本出ているのは、会社に書類を提出して手続き対象として処理されていても、年収2,000万円を超えた時点で法律上会社での年末調整が行えず「対象外(要・確定申告)」となるためです。
会社の年末調整を受けられない場合は、自分で税務署に「確定申告」をして、税金を精算します。
年末調整の対象者・対象外 早見表
| 区分 | 対象になるケース | 対象にならないケース |
|---|---|---|
| 年間の給与収入 | 2,000万円以下 | 2,000万円超 |
| 書類の提出 | 扶養控除等申告書を提出している | 書類を提出していない |
| 勤務先 | 原則1か所のメインの職場 | 2か所以上あるうちのサブの職場 |
| 年途中の退職 | 再就職して年末まで在籍している | 年途中で退職して再就職していない |
アルバイト・パートでも年末調整は必要?
「正社員じゃないから関係ない」と思っている方も多いのですが、アルバイトやパートも正社員と同じ労働者として区分されるため、年末調整を受けられます。
バイト先が1つの場合
1つのバイト先やパート先で働いていて、他に仕事がなければ、年末の時点で在籍している会社で年末調整を受けられます。
会社から配られる書類に必要事項を書いて、生命保険などの証明書と一緒に出しましょう。
払いすぎた税金が戻ってくることが多いので、出しておくほうが得です。
なお、年の途中でパートやアルバイトを辞めた場合でも、その年の給料の総額が136万円以下(2026年最新基準)であれば、年末調整の対象として税金の精算を行ってもらえる場合があります。
詳しい案内は、国税庁:給与所得者(従業員)の方へ(令和8年分)で確認できます。
バイトを掛け持ちしている場合
複数の職場で働いていると、それぞれの職場から「扶養控除等申告書」を渡されることがあります。
ただ、この書類は法律上、同時に1つの職場にしか出せません。
出す先は、いちばん収入が多いメインの職場です。
そこで年末調整を受けます。
サブの職場では年末調整が行われないため、次の章の条件に当てはまる場合は、自分で確定申告をする必要があります。
掛け持ち・副業がある人は確定申告が必要?

掛け持ちや副業をしている方がいちばん気になるのは、「確定申告をしなきゃいけないのか」という点だと思います。
確定申告が必要な基準(20万円ルール)
先に答えると、掛け持ちをしているだけで、必ず確定申告が必要になるわけではありません。
判断の基準は、年末調整を受けなかった分の収入や所得の合計です。
メインの職場以外からもらった給与の収入額と、副業などの給与以外の所得(収入から経費を引いた儲け)を足して、年間20万円を超えていれば、原則として確定申告が必要です。
確定申告が必要かの判断フロー
-
1. メイン職場の年末調整
メインの会社で年末調整を受ける -
2. サブ職場の給与計算
サブの会社からもらった給料の1年分の額を計算する -
3. その他副業の利益計算
メルカリでの売却やフリーランスの仕事など、副業の利益(収入-経費)を計算する -
4. 合計額の確認・判定
「サブの給料」と「副業の利益」を足して、20万円を超えていれば確定申告が必要
🟢 おすすめの理由(メリット):質問に答えていくだけで、スマホやPCから確定申告書を作れます。掛け持ちや副業の計算ミスも防げます。
🔴 注意点(デメリット):年末調整だけで手続きが済む方は、有料プランなどの契約は必要ありません。
🟢 おすすめの理由(メリット):銀行口座やクレジットカードを連携すると、副業の経費や収入を自動で集計できます。
🔴 注意点(デメリット):初回の口座連携や設定に少し時間がかかります。申告期限の直前ではなく、早めに準備しておくと安心です。
20万円以下でも還付申告で得をするケース
サブの職場の給料が年間20万円以下なら、所得税の確定申告義務はありません(※住民税の申告は別途必要な場合があります)。
ただ、サブの職場の給与明細を見て、「源泉徴収税額」の欄にお金が引かれていたら要チェックです。
あえて確定申告(還付申告)をすると、引かれていた税金が戻ってくる可能性が高くなります。
手元の給料明細を一度確認してみてください。
年末調整と確定申告の違い
混同されやすい2つですが、違いは「誰が計算して手続きをするか」の一点です。
年末調整と確定申告の比較
-
年末調整
会社が従業員の代わりに1年分の税金を計算して精算する仕組みです。 -
確定申告
自分自身で1年分の収入や所得を計算し、税務署に申告して納める手続きです。
| 項目 | 年末調整 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 手続きを行う人 | 勤務先(会社) | 自分自身 |
| 主な対象者 | 会社員、パート、アルバイト(条件を満たす人) | 個人事業主、副業所得がある人、掛け持ちで20万円超の人など |
| 手続き時期 | 例年11月〜12月頃 | 原則2月16日〜3月15日(2026年分は2027年3月15日締切) |
| 書類の提出先 | 勤務先 | 税務署(持参・郵送・e-Tax) |
2026年分(令和8年分)の確定申告期間は、原則として2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。
最新の日程は、国税庁:申告と納税で確認してください。
2026年の年末調整で使える控除とマイナポータル活用
年末調整の書類を書く最大の目的は、控除を漏れなく申請して、税金を安くすることです。
主な控除の種類
年末調整で申請できる主な控除は、次のとおりです。
基礎控除・配偶者控除・扶養控除:
生命保険料控除・地震保険料控除:
社会保険料控除:
小規模企業共済等掛金控除:
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除):
🟢 おすすめの理由(メリット):実質2,000円の自己負担で全国の特産品が届きます。普段の買い物と同じように、楽天ポイントも貯まります。
🔴 注意点(デメリット):年間の控除上限額を超えて寄付すると自己負担が増えます。事前にシミュレーションしておくと安心です。
マイナポータル連携のやり方と注意点
最近は、マイナポータルを使った電子申請を取り入れる会社が増えています。
マイナポータル連携を使うと、生命保険料控除証明書や住宅ローンの年末残高証明書などのデータをまとめて取得して、年末調整のWeb画面に自動で入力できます。
ただし、次の2つがそろっていないと連携は使えません。
-
1. 勤務先のシステム条件
勤務先がマイナポータル連携に対応した年末調整システムを導入していること -
2. 保険会社・金融機関の条件
保険会社や金融機関がマイナポータル連携に対応していること
対応状況は、国税庁:マイナポータルと連携した年末調整手続に載っています。
連携がうまくいかない場合は、従来どおりハガキなどの紙の証明書を添付して出せば問題ありません。
年末調整をしない・忘れた場合はどうなる?
期限までに書類を出し忘れたり、年末調整を受けなかったりすると、どうなるのでしょうか。
払いすぎた税金が戻ってこない
年末調整をしないと、毎月概算で引かれていた所得税がそのまま確定します。
生命保険料控除や扶養控除などが一切反映されないので、払いすぎた税金が戻らず、結果として損をします。
5年前までなら「還付申告」で取り戻せる
忘れてしまっても、あきらめる必要はありません。
払いすぎた税金を取り戻す手続き(還付申告)は、対象の年の翌年1月1日から5年間さかのぼって行えます。
たとえば2026年分なら、2031年12月31日までいつでも確定申告(還付申告)で取り戻せます。
納税が必要な人が放置した場合のペナルティ
逆に、副業や掛け持ちで追加の税金を納める必要があるのに申告しなかった場合は、本来の税金に加えて「無申告加算税」や「延滞税」といったペナルティが課されるおそれがあります。
該当する方は、必ず期限内に確定申告をしてください。
年末調整後に確認したい源泉徴収票の見方
12月や1月の給料明細と一緒に、会社から「源泉徴収票」が渡されます(Webで交付される場合もあります)。
1年間の収入と税金が記録された書類です。
届いたら、次の4つの数字を確認しましょう。
支払金額:
給与所得控除後の金額:
所得控除の額の合計額:
源泉徴収税額:
源泉徴収税額の右上に「※」などの印や内訳が書いてある場合は、12月の給料で還付された金額などを確認できます。
記載例やQ&Aは、国税庁:令和8年分 年末調整Q&Aも参考になります。

よくある質問
年末調整について、よく寄せられる疑問に答えます。
❓ Q1. アルバイトでも年末調整はありますか?
🟢 A. はい、あります。
雇用形態に関係なく、その会社に「扶養控除等申告書」を出していて、年末の時点で在籍していれば対象です。
❓ Q2. 掛け持ちをしている場合、必ず確定申告が必要ですか?
🟢 A. 必ずとは限りません。
サブの職場の給料と、その他の副業所得の合計が年間20万円以下なら、所得税の確定申告義務はありません。
ただ、サブの職場で税金が天引きされている場合は、確定申告をすると税金が戻ることがあります。
❓ Q3. 年末調整の書類を出し忘れました。どうすればいいですか?
🟢 A. 自分で確定申告(還付申告)をすれば大丈夫です。
会社の年末調整に間に合わなくても、翌年の2月16日以降に確定申告をすれば、受けられるはずだった控除を適用して還付を受けられます。
還付申告は5年間有効です。
❓ Q4. マイナポータル連携がうまくできません。紙のハガキで出してもいいですか?
🟢 A. はい、問題ありません。
連携がうまくつながらない場合や準備が間に合わない場合は、保険会社から郵送される紙の「控除証明書(ハガキ)」を添付すれば、通常どおり年末調整を受けられます。
❓ Q5. ふるさと納税をしていますが、年末調整で申告できますか?
🟢 A. 年末調整では申告できません。
ふるさと納税の控除を受けるには、「ワンストップ特例制度」で寄付先の自治体に申請書を郵送するか、自分で確定申告をする必要があります。
まとめ
年末調整は難しそうに見えますが、中身は「会社があなたの代わりに1年分の正しい所得税を計算して、払いすぎた分を返してくれる仕組み」です。
大事なポイントを振り返ります。
-
どこで受ける?
年末調整は、原則として「いちばん収入が多い1つの職場」で受ける -
アルバイト・パートの対象
アルバイトやパートでも、条件を満たせば対象になる -
掛け持ち・副業がある場合
掛け持ちや副業があって、サブの収入などの合計が20万円を超えるなら確定申告が必要 -
提出を忘れてしまったら
出し忘れても、5年以内なら確定申告(還付申告)で取り戻せる
制度の最新情報や手続きの詳細は、国税庁:年末調整がよくわかるページ(令和8年分)もあわせて確認してください。
書類の準備を早めに片づけて、すっきりした気持ちで新しい年を迎えましょう。

