毎年、年末が近づくと会社から配られる年末調整の書類。
ドサッと渡された申告書を前に、「扶養控除等申告書の書き方が全然わからない。A欄とB欄の違いって何?」「令和8年分と令和9年分、両方渡されたけど、どっちを直せばいいの?」と、ペンを持ったままフリーズしてしまった経験はありませんか?
実は私も、昨年の年末調整で「今年の分」と「来年の分」の2枚を前に、「これ、どっちをどう直せばいいんだっけ……」と、歴史の年号暗記テストのような冷や汗をかいた一人です。
配偶者のパート収入の壁や子どもの年齢区分は、毎年のように「今年はどう書くんだっけ?」と悩まされますよね。
年末調整に必要な各種申告書は、難しそうな印象があります。
ですが、ポイントを押さえて記入すれば、それほど身構えるものではありません。
今回は、令和8年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書について、迷いやすいところを整理しながら、記入例つきで分かりやすくご紹介します。
年末調整【令和8年分】扶養控除申告書の書き方は?
まずは、勤め先から配布される書類を確認しましょう。
勤め先から渡される主な書類
令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:
令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:
令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書:
令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書:
(参考:国税庁:令和8年分 年末調整のしかた)
令和8年分(今年分)の扱い方
扶養控除等申告書は、原則としてその年の最初の給与を受け取る日の前日までに提出するルールです。
そのため、令和8年分は年初に出した内容が、確認・修正用として手元に戻ってくるのが一般的です。
内容を確認して問題がなければ、そのまま提出します。
結婚・出産・転職などで変更(異動)があった場合は、赤ペンなどで修正して、【異動月日及び事由】欄に理由を書いて提出しましょう。
前年から勤務状況や家族構成に一切の異動がない場合は、勤務先の指示により「簡易な申告書」で済ませるケースもあります。
令和8年分の修正は、令和8年(2026年)12月31日時点の正しい情報で記載します。
令和9年分(来年分)の扱い方
令和9年分は、来年の毎月の給与計算や、来年末の年末調整で使うための書類です。
年明けすぐに回収するのは大変なので、この年末調整のタイミングで一緒に記入・提出するのが一般的になっています。
ここからは、扶養控除等(異動)申告書の具体的な書き方を、欄ごとにご紹介します。
基本的な書き方は、令和8年分でも令和9年分でも共通です。
令和8年分で押さえておきたい数字
令和8年分では、扶養や配偶者の判定に使う数字が変わりました。
先に全体像をつかんでおくと、各欄の説明がぐっと読みやすくなります。
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扶養親族・同一生計配偶者の所得要件
合計所得金額62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)です。令和7年分までは58万円以下(給与収入123万円以下)でした。 -
給与所得控除の最低保障額
65万円から74万円になりました。 -
基礎控除
合計所得金額489万円以下の場合に104万円です。 -
特定親族特別控除の対象
19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が62万円超123万円以下の場合は、対象になります。
令和8年12月1日以後に支払う給与から、この新しい所得要件が使われます。
年初に配られた令和8年分の申告書は、改正前の要件で記入しているため、今回の確認で新しい基準に照らして見直しておくと安心です。
新たに扶養に入れられる家族がいる場合は、異動として追記します。
書き方は勤務先の案内に従ってください(一例として、【異動月日及び事由】欄に「令和8年1月1日 改正」などと記載します)。
なお、制度の数字は今後変わる可能性もあります。
提出前に、国税庁の最新の案内もあわせて確認してください。
年末調整とあわせて、ふるさと納税の控除手続きも確認しておくと安心です。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
国税庁の記載例だけでは分かりにくい点もあります。
各欄のポイントと最新の条件を、順番にまとめていきます。
(参考:国税庁:令和8年分 扶養控除等(異動)申告書の記載例)
1. 独身者の場合
独身で、A〜Eに該当する扶養親族等がいない場合は、一番上の「基本情報(氏名・住所・生年月日など)」だけ記入し、押印欄があれば押印して提出すれば完了です。
会社の名前・住所・法人番号は、あらかじめ印字されていることもあります。
独身の場合は、「配偶者の有無」で「無」に〇を付けます。
A 源泉控除対象配偶者欄の書き方
本人の年間合計所得金額が1,000万円以下(給与年収1,195万円以下)で、配偶者の所得が一定以下の場合に記入する欄です。
たとえば、配偶者がパートで年収100万円の場合を考えてみましょう。
給与所得控除は74万円なので、100万円 − 74万円 = 26万円となり、「所得の見積額」欄には26万円と記入します。
対象者の条件
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配偶者控除の対象
配偶者の合計所得金額が62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)の場合です。 -
配偶者特別控除の対象
配偶者の合計所得金額が62万円超133万円以下(給与収入のみなら136万円超207万円以下が目安)の場合です。 -
申告する本人の条件
合計所得金額1,000万円以下(給与年収1,195万円以下)です。
- 12月31日現在で、生計を一にしていること
- 配偶者が青色・白色の事業専従者ではないこと
- 配偶者が他の人の扶養親族になっていないこと
配偶者特別控除の詳しい計算と確定は、別紙の「給与所得者の配偶者控除等申告書」で行います。
「生計を一にする」とは?
必ずしも同居している必要はありません。
勤務・修学・療養などで別居していても、休日や休暇には同居している場合や、生活費・学資金・療養費などを常に送金している場合は、「生計を一にする」とみなされます。
同じ家屋で同居している場合は、明らかに独立した生活をしている場合を除いて、生計を一にしているとみなされます。
B 源泉控除対象親族(控除対象扶養親族)欄の書き方
16歳以上の親族について記入する欄です。
令和8年分の場合、令和8年12月31日時点で16歳以上、つまり平成22年1月1日以前に生まれた親族が対象になります。
区分と対象年齢(令和8年分)
一般の控除対象扶養親族:
特定扶養親族:
老人扶養親族:
令和9年分(来年分)の申告書は、判定日が令和9年12月31日になります。
生まれ年の区切りが1年ずつ後ろにずれるので、ご注意ください。
70歳以上の親が別居して老人ホーム等に入所している場合は、「同居」扱いにはならないため、「その他」にチェックを入れます。
特定親族(19歳以上23歳未満)で、合計所得金額が62万円超123万円以下の場合は、特定親族特別控除の対象になります。
令和8年分の申告書には「特定親族」のチェック欄があり、チェックを入れておきます。
年末調整で控除を受けるには、別紙の「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」にも記入が必要です。
非居住者(国外居住親族)の場合
扶養親族が海外に住んでいる場合は、「非居住者である親族」欄にチェックを入れます。
親族関係書類や送金関係書類のほか、外国語の書類なら日本語訳文などの添付も必要です。
C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生欄の書き方
自分自身や家族が当てはまる場合は、該当する区分にチェックを入れます。
なかでも「ひとり親」と「寡婦」は違いが分かりにくく、迷う方が多いところです。
次の基準で、順番に確認してみましょう。
ひとり親控除(控除額35万円)
男性・女性を問わず、結婚歴(離婚・死別・未婚)も関係ありません。
次の3つをすべて満たす方が対象です。
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生計を一にする子の条件
生計を一にする子がいること(子の合計所得金額が62万円以下) -
本人の所得条件
本人の合計所得金額が500万円以下であること(給与だけの場合、年収677万円以下が目安) -
住民票の確認(事実婚の除外)
住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」などの記載がないこと(事実婚の状態ではないこと)
寡婦控除(控除額27万円)
こちらは女性だけの控除です。
「ひとり親」に当てはまらない方で、次のどちらかに該当すれば対象になります。
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離婚した場合
再婚しておらず、子以外の扶養親族(親や孫など)がいて、本人の合計所得金額が500万円以下であること -
死別した場合
再婚しておらず、本人の合計所得金額が500万円以下であること(扶養親族がいなくても対象)
どちらの場合も、住民票に「夫(未届)」などの記載がないことが前提です。
「内容」欄の書き方
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障害者の場合
障害の状態、手帳の種類・交付年月日、障害の等級、氏名(扶養親族の場合)、同居の有無などを記載します。 -
勤労学生の場合
学校名、入学年月日、所得の見積額を記載します。
D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等欄の書き方
共働き夫婦で、「1人の子ども(扶養親族)を夫婦どちらの扶養に入れるか」という場面で使う欄です。
たとえば、共働き夫婦に20歳の大学生の子どもが1人いる場合、扶養控除に入れられるのは父か母のどちらか一方だけです。
夫(父)が子どもの扶養控除を受けるなら、妻(母)の申告書のD欄に、「子どもの情報」と「控除を受ける他の所得者(夫)の情報」を記入します。
16歳未満の年少扶養親族(令和8年分なら平成22年1月2日以降生まれ)や、退職手当等のある配偶者・扶養親族について記入する欄です。
16歳未満の扶養親族は、所得税の控除対象ではありません。
ただし、住民税の非課税限度額などの計算に必要なので、必ず記入します。
退職所得がある配偶者や扶養親族がいる場合も、住民税の控除を受けるために、この欄で申告します。
保険料控除申告書とあわせて確認したいこと
生命保険料控除の見直し
扶養控除申告書だけでなく、同時に配られる「保険料控除申告書」の記入も、年末調整の大きな山場です。
生命保険や個人年金に加入していれば、控除によって税金が安くなります。
この機会に、「今の保障内容が、いまの家計やライフステージに合っているか」を見直してみるのもおすすめです。
🟢 おすすめの理由(メリット):保険料控除の対象になる契約内容を整理するよいきっかけになり、プロに無料で相談できます。世帯年収や扶養家族の状況に合わせて、ちょうどいい保障バランスを提案してもらえます。
🔴 注意点(デメリット):今の保険に特に不満がなく、保障内容を変える予定がまったくない場合は、利用する必要はありません。
年末調整だけでは足りない人(副業・医療費などがある方)
給与所得だけの方は、社内の年末調整だけで手続きが完結します。
一方、副業の収入がある方、医療費が多くかかった方、ふるさと納税の寄付先が6自治体以上でワンストップ特例が使えない方は、別に確定申告が必要です。
🟢 おすすめの理由(メリット):副業の売上管理や、医療費控除・ふるさと納税の還付申告書づくりを、スマホやPCで簡単に進められます。画面のガイドに沿って入力するだけなので、知識がなくても入力ミスや計算漏れを防ぎやすくなります。
🔴 注意点(デメリット):給与所得だけで年末調整が完結し、確定申告が一切いらない方は、使うメリットがありません。
副業や医療費控除などで確定申告が必要な場合は、専用ソフトを使うと入力ミスを減らしやすくなります。
来年の節税に向けて「ふるさと納税」もチェック
年末調整で所得税や住民税の仕組みを意識するこの時期は、ふるさと納税の寄付枠を見直すのにもぴったりのタイミングです。
🟢 おすすめの理由(メリット):控除上限額のシミュレーションが簡単で、自分の年収や扶養状況に合った寄付枠がすぐ分かります。全国の特産品や日用品を受け取りながら、翌年の住民税を効率よく安くできます。
🔴 注意点(デメリット):寄付しすぎると自己負担額(2,000円)を超えて損をしてしまいます。必ず今年の年収・家族構成をもとにした控除上限額の範囲内で利用してください。
すべての人に必要なサービスではありません。ご自身の状況に合わせてご検討ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
毎年やってくる年末調整は書類が多く、複雑に感じられます。
それでも、項目ごとに「うちは該当するかな?」とひとつずつ確認しながら進めれば、難しいことはありません。
令和8年分は、扶養や配偶者の所得要件が62万円以下(給与収入136万円以下)に広がりました。
家族の年収や生年月日の基準日を確認しながら、早めに準備して提出しましょう。













