年末調整

離婚した場合の年末調整の注意点は?配偶者控除や扶養控除はどうなる?

年末の時期に行われる「年末調整」。

年末調整は会社員にとっては1年間の総決算ともいうべき大事な手続き。

会社から年末調整の申告書を配布され、いざ記入しようという際に「これってどうなるの?」という疑問は、毎年どうしても出てきます。

現在では、昔に比べ離婚する夫婦も増えており、「離婚した場合の年末調整ってどうなるの?」といった疑問も増えています。

配偶者控除やお子さんがいる場合には扶養控除も気になるところ。

今回は、離婚した場合の年末調整について注意点や配偶者控除や扶養控除はどうなる?についてご紹介します。

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離婚した場合の年末調整の注意点は?配偶者控除はどうなる?

離婚

毎年、今年最後の給与・賞与支払い時に行われる年末調整。

会社からは、12月の時期に合わせて11月中には年末調整に必要な書類を配布されることでしょう。

年末調整では、下記の書類の提出が必要となります。

●令和4年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
●令和4年分「給与所得者の保険料控除申告書」
●令和4年分「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」
●令和4年分「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」(※適用を受ける人のみ)
◆令和5年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

令和4年分は昨年の年末調整時に記入・提出済みのはずで、すでに提出済みの申告書である令和4年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に控除対象配偶者、扶養親族や障害者などの異動がないか確認するために再度配布される形になります。

この時点で異動などがなければそのまま提出となります。

尚、この際に翌年分(令和5年分)の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」も配布され、令和4年分と同時に回収するのが一般的です。

他にも同時に、令和4年分「給与所得者の保険料控除申告書」、令和4年分「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」および、令和4年分「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」(※適用を受ける人のみ)などの提出を行います。

離婚した場合配偶者控除は受けられるの?

年末調整に必要な所得税法によると、配偶者控除の対象となる控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、下記の要件のすべてに当てはまる人とされています。

控除対象配偶者の要件
①給与の支払いを受ける人の、控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下(給与の収入金額が1,195万円を超える場合は配偶者控除を適用することはできません)。

②民法の規定による配偶者(「配偶者」は婚姻の届出をしている配偶者をいい、内縁関係の人は含まれません)。

③生計を一にしている。

④その年の合計所得金額が48万円以下

⑤他の人の控除対象扶養親族となっていない。

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⑥青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていない。

⑦白色申告者の事業専従者となっていない。

例えば、その年の12月に離婚が決定、離婚届も提出し離婚が成立した場合、その年1月1日から12月途中まで妻(夫)を扶養していたことになるので、配偶者控除を受けたいところですが、残念ながら配偶者控除は受けられません。

配偶者控除は、「その年の12月31日の現況で、下記の要件のすべてに当てはまる人」と法律で定められているため、たとえ1年の大半を扶養していた状態であっても、12月31日時点で配偶者か否かで、すべてが決まってしまうのです。

配偶者とは民法の規定による

夫から見た妻を、妻から見た夫を、それぞれ配偶者と言います。

配偶者の地位は、婚姻によってのみ認められており、婚姻は婚姻届を出すことによって初めて効力が生じます。

これにより、「離婚」とは、上記の配偶者の効力が消滅した時、すなわち「離婚届が受理された時」となります。

例えば、離婚協議を重ねている状況で12月31日時点では婚姻関係にあり、翌年の1月1日に離婚届を提出した場合は、配偶者控除は受けられます

配偶者控除の適用があるご家庭では、もし「離婚」となったときでも、控除面を考慮して離婚届の提出を年明けにずらすなどの対応が場合によっては、大切になるかもしれませんね。

同棲相手や内縁関係の相手は配偶者控除は受けられる?

上記のように、配偶者控除を受けられる人の用件は、民法の定める婚姻関係にある人に限定されるため、同棲相手や内縁関係の相手は、配偶者控除は受けられません。

年の中途で配偶者が死亡した場合の配偶者控除はどうなるの?

年の中途で配偶者が死亡した場合には、その死亡の時の現況によって所得者に配偶者があるかどうか、また、その配偶者が控除対象配偶者に該当するかどうかを判定することになっています。

配偶者が死亡した時の現況において、控除対象配偶者の該当要件を満たしている場合には、配偶者控除の適用を受けることができます。

この際、「配偶者の合計所得金額が38万円以下」という要件は、配偶者のその年の1月1日から死亡日までの間の合計所得金額で判定します。

尚、年の中途で控除対象配偶者が死亡した場合であっても、配偶者控除額の月割計算等は行いません。

配偶者と死別し、再婚した場合の配偶者控除はどうなる?

年の中途で配偶者と死別した人がその年中に再婚したときは、死別した配偶者または再婚後の配偶者のうちいずれか1人だけが控除対象配偶者になり、他の1人は控除対象配偶者になりません。

また、原則として同じ世帯の他の所得者の扶養親族にもなりません。

しかし、死亡した配偶者を夫(妻)の控除対象配偶者とせず、同じ世帯の他の所得者(例えば「父」など)の扶養親族としていた場合には、その死亡した配偶者については、そのまま他の所得者の扶養親族とし、再婚した配偶者については、夫(妻)の控除対象配偶者として差し支えないとされています。

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離婚した場合の年末調整の注意点は?扶養控除はどうなる?

もし、離婚となった場合に、お子さんがいるご家庭では「扶養控除」なども気になるところです。

離婚後養育費を送金している子の扶養親族はどうなる?

扶養親族となるためには、所得者と「生計を一にする」ことが条件になっています。

別居している場合でも、妻子等に対して常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われているときには、これらの者と生計を一にするものとされています。

しかし、離婚後妻のもとにいる子に対して送金している場合、送金していることがたとえ扶養義務に基づくものであっても、それは離婚条件の履行として送金されているものであり、生活費、学資金の送金とは性質が異なることから、送金していることをもって、必ずしも「生計を一にしている」ことにはならないという留意点もあります

夫が離婚後もそれなりの養育費を毎月きちんと送金して、お子さんを実質扶養している場合は、夫が扶養控除を受けることができます。

ただし、お子さんが、離婚した妻または生計を一にする他の人の扶養親族とされていないことが明らかな場合に限り適用が可能となりますし、扶養控除の適用を離婚した妻も行い、養育費を送金している夫も行うというダブルの適用はNGですのでご注意を!

離婚して子供を育てる場合にはひとり親控除および寡婦控除も忘れずに!

ひとり親控除および寡婦控除は、16歳未満の年少扶養親族がいる人も適用できます。

ひとり親控除は、給与の支払いを受ける者が男性か女性かを問わず、ひとり親のときは35万円が控除されます。

また、ひとり親控除に該当しない寡婦に係る寡婦控除は27万円が控除されます。

なお、ひとり親控除および寡婦控除については、いずれも事実上婚姻関係にあると認められる者がいないことが必要です。

ひとり親控除の要件等

ひとり親とは、婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を一にする子を有する単身者で、次の要件に当てはまる人です。
ひとり親控除の要件等

寡婦控除の要件等

寡婦とは、次のいずれかに当てはまる人です。

寡婦控除の要件等

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まとめ

上記のように、離婚のタイミングによっては配偶者控除を受けられない場合もあります。

とはいっても、12月31日の前に結婚し、1月1日以降で離婚をするなど悪意的に配偶者特別控除を得ようとすることは、法的に禁止されています。

税務当局によってその事実が発覚した場合、修正申告に加えて延滞税、さらに悪質な場合だと、徴税罰則が課せられる可能性もありますので、正しく申告するようにしましょう。

  • この記事を書いた人

山崎

インターネット広告を扱う小さな会社を営んでいます。 今までの経験を活かし、ビジネスマナー・経理・手続き・税金・節税などの題材を中心に書いています。 詳しいライタープロフィールはこちら

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