毎年、年末の時期に行われる年末調整。
対象となる従業員の方には、会社から「扶養控除等申告書」(今年分【平成31年(2019年)分】と翌年分【令和2年分】の2種類)と保険料控除申告書、配偶者控除等申告書、それと年末調整のお知らせというリーフレットが配られ、記載内容の確認と記入を求められます。
年末調整に必要な各種申告書は、書き方や記入方法など難しい印象がありますが、ポイントを抑えて記入すればそれほど難しいものではありません。
今回は、平成31年(2019年)分の扶養控除等(異動)申告書の書き方についてご紹介します。
年末調整【平成31年(2019年)分】扶養控除申告書の書き方は?
まずは、下記の書類を勤め先から渡されると思いますので確認しましょう。
※扶養家族や自分の状況(障害者や寡婦など)の情報を記入する書類
関連令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方はコチラ
②平成31年(令和元年・2019年)分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
※年末時点における扶養家族や自分の状況(障害者や寡婦など)の情報を記入する書類
③令和元年分 給与所得者の保険料控除申告書
※支払った保険料の情報を記入する書類
関連令和元年分給与所得者の保険料控除申告書の書き方はコチラ
④令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書
※配偶者の情報を記入する書類
関連令和元年分給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方はコチラ
『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』は、平成31年(令和元年・2019年)分(今年分)と令和2年分(来年分)の2枚あります。
原則として、『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』は、その年の給与の支払を受ける日の前日(1月の給料日の前日)までに提出するのが決まりなので、平成31年(令和元年・2019年)分(今年分)は、昨年末に記入した扶養控除等申告書を使用します。そのため、昨年末に提出されたもののコピーなどが返却されている状態となります。
平成31年(令和元年・2019年)分(今年分)は、今年1年間、会社はその内容をもとに、積立金として所得税を天引きしてきたわけですが、「もし変更があるなら修正してください。問題なければこの内容で今年の年末調整やります!」という最後の確認を兼ねて一旦本人に返却して確認してもらいます。
ですので、平成31年(令和元年・2019年)分(今年分)に関しては、内容を確認し問題なければそのままの状態で提出し、修正があれば分かりやすいように赤ペン等で正しく書き入れ、【異動月日及び事由】の欄に理由を書いて提出します。
ポイント
令和2年分(来年分)は、来年の給与計算と年末調整で使うためのものです。本来であれば令和2年1月の給与支給日までに提出すればいいのですが、年明けすぐにまた社員全員に配布して書いてもらって回収してとなるのも面倒なので、このタイミングに一気に書かせるのが一般的です。
今回は、平成31年(令和元年・2019年)分(今年分)の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方について下記にご紹介していきます。
①平成31年(令和元年・2019年)分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方
参照【国税庁】平成31年分の扶養控除等(異動)申告書の記載例上記の国税庁の記載例では、わかりにくい点もあるかもしれませんので、下記にそれぞれの箇所の記入例とともに具体的な書き方をご紹介します。
独身者の場合
独身で、A~Eに該当する扶養親族がいない場合は、一番上の「①」の部分だけ記入・押印して提出すれば完了です。
※独身の場合は「配偶者の有無:無」を囲む。
※年末調整の書類には「シャチハタ印でも可」となっています。これは、この書類が基本的には会社内に残す資料なので担当部署から何も指定がない場合にはシャチハタ印でも問題ないとされているためです。
但し、基本的に国や都道府県や市に提出する公式書類に「シャチハタ印」を使用するのは一切認められないため、出来れば、正式な印鑑を使用するのが望ましいです。
A源泉控除対象配偶者欄の書き方
この「A」の欄は、昨年の平成30年以降から、「源泉控除対象配偶者」に該当する場合に記載することになります。
「源泉控除対象配偶者」とは、給与所得者(合計所得金額(見積額)が900万円以下の人に限る)と生計を一にする配偶者で、合計所得金額(見積額)が85万円以下の人をいいます。
合計所得金額が85万円以下すなわち配偶者の収入が給与所得だけの場合は150万円以下の人をいいます。※下記図参照。
源泉控除対象配偶者に該当する人がいない場合には、この「A」欄に記載する必要はありません。
上記の図でピンク色の箇所にあてはまる人が「源泉控除対象配偶者」に該当します。
分かりづらいですが、下記の図も参考に!
配偶者控除および配偶者特別控除の見直しの3つのポイント
- 夫が控除額38万円を適用できる妻の合計所得金額が85万円以下(収入額:150万円以下)に拡大された
- 夫の合計所得が1,000万円以下(給与所得のみの場合は収入が1,220万円以下)に限定された
- 所得税については平成30年度(2018年1月1日以降)より適用(※住民税については平成31年度より適用)
配偶者控除には、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の2種類があり、150万円以内に拡大されたのは「配偶者特別控除」のほうになります。
配偶者控除について、今回の改正で、夫に「所得制限」が設けられました。
これにより、夫の合計所得金額か゛1,000万円(給与所得のみの場合は収入が1,220万円)を超える場合、配偶者控除の適用はて゛きないこととなりました。
また、合計所得金額が900万円以下(収入1,120万円以下)、950万円以下(収入1,170万円以下)、1,000万円以下(収入1,220万円以下)と3段階にわけて控除額が設定されています。
今までは所得制限なく控除できていたため、平成30年以降は注意が必要です。
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生計を一にしているとは?
「生計を一にする」とは、必ずしも同じ家屋に同居していることをいうのではなく、それぞれ次によることとされていますのでご参考に!
- 1.勤務、修学、療養などの都合で同居していない親族がいる人は、以下のときにはこの親族は生計を一にするものとします。
- 2.親族が同じ家屋に同居している時には、明らかに独立した生活をしている場合以外は、その親族は生計を一にするものとします。
●同居をしていない親族が、その親族の休日や休暇のときには同居をしている。
●同居をしていない親族に、生活費、学資金、療養費などの送金をしている。
なお、控除対象となる配偶者や扶養親族に所得がある場合、年間の所得見積額が配偶者は85万円以下、扶養親族は38万円以下でないと控除対象に該当しないこととなっています。
そこで、「A」欄の「所得の見積額」はどのように計算するのでしょうか?
所得の見積額とは、各種の所得合計額からそれぞれ必要経費、給与所得控除額、公的年金等控除額などを差し引いた、その年に得られる所得金額のことです。
たとえば、所得が給与(パートを含む)だけの方の場合、給与収入が配偶者150万円、または扶養親族103万円以下のときは、給与所得控除額が最低65万円となっていますので、これを差し引くと所得金額は【150万円-65万円=85万円】(【103万円-65万円=38万円】)以下となります。
例えば、配偶者である奥さんの所得が85万円(年収150万円)を超える場合は、このA欄の「源泉控除対象配偶者」に該当しないため、この欄への記入はしません。
「給与所得者の配偶者控除等申告書」にて申請することになります。
老人控除対象配偶者は、控除対象配偶者のうちその年の12月31日現在(年の途中で死亡した場合は死亡時)の年齢が70歳以上の人が該当者となるため、平成31年(令和元年・2019年)分では昭和25年1月1日以前に生まれた人が該当します。
この箇所で注意する点は「所得の見積額」のところです。ここには収入そのままの金額ではなく、収入から65万円を引いた金額を書きます。
(※収入から65万円を引く)
98万円 - 65万円 = 33万円
(※収入から65万円を引く)
150万円 - 65万円 = 85万円
(※年金収入から120万円を引く)
140万円 - 120万円 = 20万円
(※年金収入から70万円を引く)
60万円 - 70万円 = △10万円(0円)
所得が公的年金のみの場合には、収入金額が158万円以下(65歳未満の場合は108万円以下)である時、所得は38万円以下となります。(※上記 例③・④参照)つまり、65歳未満の人は所得から70万円を引いた額、65歳以上の人は所得から120万円を引いた額を記入します。
※下記の図もご参考に!
B控除対象扶養親族欄の書き方
ポイント
ポイント
ポイント
尚、70歳以上(昭和25年1月1日以前生まれ)で同居しておらず老人ホーム等に住んでいる場合、老人ホーム住まいは同居扱いにならないため「その他」にチェックを入れます。
源泉控除対象配偶者または控除対象扶養親族が非居住者である場合には「非居住者である親族」欄に「〇」を記入します。
C障害者、寡婦、寡夫、又は勤労学生欄の書き方
ここの箇所は、次のいずれかに該当する場合にのみ記入します。
②控除対象配偶者又は扶養親族(年齢は問わない)が障害者に該当する場合
上記図のとおり、該当する箇所に「○」または「レ点」などのチェックを記入します。
尚、扶養親族が障害者に該当する場合には、該当する人数を記載し、該当する人の詳細内容について「左記の内容」に記入します。
「左記の内容」への記入内容は次のように区分に応じて記入内容が異なります。
●寡婦又は寡夫:死別、離別、生死不明のどれに該当するか、その年の所得の見積額など寡婦又は寡夫であることを証明する事実
●勤労学生:学校名、入学年月日、所得金額
ポイント
「扶養親族」は年齢16歳未満(平成16年1月2日以降生)の扶養親族も対象となります。
D他の所得者が控除を受ける扶養親族等欄の書き方
この欄は、あなたと生計を一にする人の中に所得者が二人以上いる場合に、「控除を受けられるのは一人だけ」という趣旨を理解しておけば書くのも分かりやすいでしょう。
例えば、共働きの夫婦がいるとします。またその夫婦に子供が1人いて、20歳の大学生だとします。
この場合、その子供について扶養控除を受けられるのは、父か母のどちらか一方で、2人同時に受けることはできません。
もし父が扶養控除を受けるのであれば、母の扶養控除等申告書には、このD欄にその情報を書けばいいことになります。
まずはじめに子供の情報を書き「控除を受ける他の所得者」の欄には父の情報を書きます。
記載しなくても直接控除額には影響ありませんので、分からない場合は空欄でもいいでしょう。
E16歳未満の扶養親族欄の書き方
この項目は住民税の均等割りの非課税の判定等に使用するためのものです。
年齢16歳未満(平成16年1月2日以降生まれ)の扶養親族を記入します。
「控除対象外国外扶養親族」欄は、国内に住所を有しない扶養親族の場合にチェックを記入します。
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まとめ
いかがでしたか?
毎年やってくる年末調整は複雑な感じがしますが、慌てずに該当するかしないかを確認しながら記入していきましょう。