毎年、年末の時期にやってくる「年末調整」。
現在では、共働きのご家庭も多く、「共働きの場合の年末調整はどうするの?」と、共働きならではの疑問も多くあがります。
配偶者控除や配偶者特別控除など、慣れないと難しく感じてしまいますが、年末調整で必要な控除などをしっかり理解して賢く年末調整を行いましょう!
今回は、年末調整について、配偶者控除と配偶者特別控除の違いを含め控除額の金額などについてご紹介します。
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年末調整 配偶者控除と配偶者特別控除の違いは?
そもそも「控除」とは?
「控除」とは、本来「ある金額から一定の金額を差し引くこと」で、年末調整の場合、「控除=お金がもどって来る!」と思う人が多いのですが、正確には「支払うべき税金が安くなる」といったほうが正しいかもしれません。
私達は、働いて収入を得ているわけですが、そのもらっている給料は毎月所得税が天引きされています。
この毎月天引きされている所得税はあくまで「概算」で正確なものではないのです。
そこで必要になってくるのが「年末調整」で、正確な所得税を計算するために、本年1月1日から12月31日までの1年間を通したトータル収入から1年間の各種控除できる金額を計算し、多くとりすぎてしまったいた所得税はもどって来るなどして調整されるのです。
給与所得者の控除とは?
私たちに課せられる所得税の額は、下記の算出方法で算出されます。
「所得控除」とは、所得税や住民税を計算するときに、所得から直接差し引くことができるもので、基本的に課税されないものをいい、税負担をなるべく公平にするために設けられています。
例えば、年収が同じサラリーマンの世帯で、【夫婦2人だけの場合】と、【夫婦2人+小学生の子供2人】がいる場合に同じ税負担だと不公平になってきます。
そこで、所得控除のひとつでもある「扶養控除」を設けて、小学生のいる世帯の税負担を軽くする仕組みとなっているのです。
一定の条件を満たしていれば適用され、所得から所得控除分を差し引くことができ、その分だけ税金が安くなります。
一般的な所得控除には、下記の15種類があります。
所得控除一覧
- 基礎控除
1年間の合計所得金額が2,500万円以下の人で、所得金額によって16万円~48万円 - 医療費控除
1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合に受けられる控除です。薬局で購入した風邪薬代なども対象になることも!親族であれば同居していなくても対象になるので、子供が上京して仕送りしている場合なども対象に! - 配偶者控除
年末調整・確定申告をする本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合に控除されます。(※配偶者の年齢が70歳以上の場合は48万円) - 配偶者特別控除
年末調整・確定申告をする本人の合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合に控除されます。 - 扶養控除
1年間の合計所得金額が48万円以下の扶養親族がいる人。1人につき38万円~63万円(※年齢や同居の有無により異なります) - 社会保険料控除
「国民健康保険料」「国民年金保険料」や「雇用保険料」「厚生年金保険料」「健康保険料」「年金加算掛金」として支払っているものは「社会保険料」として、その全額が控除されます。 - 生命保険料控除
生命保険や生命共済に支払ったときに適用できる控除です。合計で最高12万円 - 地震保険料控除
地震保険に加入しているとき、加入額に応じて最高5万円控除されます。 - 勤労学生控除
働いている学生が対象で、合計所得金額が75万円以下で条件に該当する学校の学生であれば、一律27万円控除されます。 - 寡婦・ひとり親控除
●夫と死別または離婚して単身の場合で一定の条件を満たしている人。
●未婚のひとり親で一定の条件に当てはまる人。
※寡婦控除:27万円、ひとり親控除:35万円 - 障害者控除
本人やその配偶者、扶養親族が障害者の場合に、所得控除されるもので、一般障害者と重度の障害がある特別障害者があります。 - 雑損控除
自然災害や盗難によって住宅や家財に損害があったときに所得控除されるもので、損害の原因と認められるものは、風水害、冷害、雪害、落雷、地震などの自然災害や火災、火薬の爆発などの人的災害です。その他に盗難、横領や害虫による損害も含まれます。 - 小規模企業共済等掛金控除
「小規模企業共済契約」などに支払った掛金の全額が対象となります。 - 寄付金控除
国や地方公共団体に対する寄付金や「ふるさと納税」などの寄付を行った場合に受け取ることができる控除です。
所得税の算出には、上記のようにたくさんの「所得控除」項目があり、うまく活用することで「支払うべき税金が安くなる」のです。
配偶者控除と配偶者特別控除の違い
この一定の条件とは、その年の12月31日時点で、次の要件を全て満たしていることが必要となります。
①給与の支払いを受ける人の控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下。
②民法の規定による配偶者(「配偶者」は婚姻の届出をしている配偶者をいい、内縁関係の人は含まれません)。
③生計を一にしている。
※生計を一にするとは
「生計を一にする」とは、必ずしも同じ家屋に同居していることをいうのではなく、それぞれ次によることとされています。
1)勤務、修学、療養などの都合で同居していない親族がいる人は、以下のときにはこの親族は生計を一にするものとする。
●同居をしていない親族が、その親族の休日や休暇のときには同居している。
●同居をしていない親族に、生活費、学資金、療養費などの送金をしている。
2)親族が同じ家屋に同居しているときには、明らかに独立した生活をしている場合以外は、その親族は生計を一にするものとする。
④配偶者のその年の合計所得金額が48万円以下。
⑤他の人の控除対象扶養親族となっていない。
⑥青色・白色申告者の事業専従者として給与を受け取っていないこと。
※この配偶者控除は、用件を満たせば夫婦のうちどちらか一方が受けられるため、妻を申告者として、合計所得金額が48万円以下の夫を控除対象配偶者にすることもできます。
なお、配偶者特別控除を受けることのできる配偶者の条件として、次の要件を全て満たしていることが必要となります。
①給与の支払いを受ける人の控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下
②民法の規定による配偶者。
③生計を一にしている。
④他の人の扶養親族となっていない。
⑤青色・白色の事業専従者として給与を受け取っていないこと。
⑥配偶者の年間の合計所得金額が48万円超133万円以下である。
※この配偶者特別控除は、夫婦の間でお互いに受けることはできません。
年末調整 配偶者控除と配偶者特別控除の金額や計算方法は?
パートの収入額に応じた配偶者控除額および配偶者特別控除額については、下記をご参考にされてくださいね。
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まとめ
配偶者に収入がある場合は、金額に応じて控除額に違いがあります。それを大きく配偶者控除と配偶者特別控除として分けているのです。